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2022/11/28 (Mon)
【DX Drive2022レポート】伝統的な日本企業がDXで直面する人と組織の壁 〜泥臭い人材・組織開発に取り組む2社の実例を大公開〜

著者: Kaizen 編集部

DX
グラレコ_20221006DXD

顧客体験DXで企業課題をカイゼンするKaizen Platformが、各業界のDXの実践者をゲストに迎え、オンライン開催する「DX Drive2022」。

「日本のDXを加速する。」をコンセプトに、毎回、DXに関連する注目のテーマをピックアップ。ゲストと共にDXの"今"と"リアリティ"を届けるイベントです。

センコーグループホールディングス株式会社及びセンコー株式会社と、三井住友海上あいおい生命保険株式会社の担当者の方をお迎えし、Kaizen Platform代表の須藤憲司が、DX人材育成や組織開発について深掘りしました。

本記事では、2022年10月6日(木)に開催されたイベントの内容をお伝えします。

講演者

センコー株式会社 事業政策推進本部 DX推進部 部長 吉田 聡 

1987年にセンコー株式会社に入社。配車担当から車両事業所所長を務めた後、事業所改善などに取り組む。さらに本社営業部門で住宅物流や営業開発を15年にわたって担当した後、経営戦略部門でグループ事業シナジー創出に注力。2020年から現職。

 

センコーグループホールディングス株式会社 人材教育部 センコーユニバーシティ 部長 南里 健太郎

センコー㈱入社後、長年物流センターの構築・運営に従事。2016年よりコーポレートユニバーシティの創設に携わり、現在「センコーユニバーシティ」をセンコーグループホールディングス㈱にて運営。企業内に潜在する人財が一歩踏み出し、組織・社会へポジティブインパクトを産み出す場創りを目指す。

 

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長 勝並 進

1995年に旧三井海上に入社。社内FA制度で旧三井みらい生命に出向し、営業部門の担当・マネージャー、営業推進部門などを経て、2021年より現職。デジタル人財の育成や社員・代理店のデジタル活用促進など全社のDX推進に従事。

 

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長代理 林 加奈子

2006年に旧あいおい生命に入社。役員秘書、人事労務、障がい者雇用・インクルーシブ教育部門を経て、2021年より現職。デジタル人財の育成や社員・代理店のデジタル活用促進など全社のDX推進に従事。

 

株式会社Kaizen Platform代表取締役 須藤憲司

2003年に早稲田大学を卒業後、リクルートに入社。同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。その後、2013年にKaizen Platformを米国で創業。現在は日米2拠点で事業を展開。企業のDXを支援する「KAIZEN DX」、Webサービスやモバイルや動画広告などのUI/UX改善をする「KAIZEN UX」を提供。

著書:

「ハック思考〜最短最速で世界が変わる方法論〜」 (NewsPicks Book)

「90日で成果をだす DX(デジタルトランスフォーメーション)入門」(日本経済新聞出版社)

「GovTech東京」から読み解く、DXにおける人と組織の課題

ーまずDXトレンドについて、須藤さんより解説をお願いします。

須藤:先日、小池百合子東京都知事より、東京のDX推進強化に向けた「GovTech東京」構想が発表されました。

GovTech東京を例に挙げながら、DXにおける人と組織の課題をお話しします。

話す須藤

株式会社Kaizen Platform代表取締役 須藤憲司

人の課題は、マインド・スタンスの変革と実践

須藤:DXを推進する際は、「人事制度の発明」が大事だと言われています。その背景には「DX人材の確保」という課題があります。

DX人材とは、プロデューサーやビジネスデザイナーなど、デジタルリテラシーを持ち、業務に精通した変革人材のことです。DXのプロジェクトをいくつ実行できるか、どのくらいの規模や程度の内容を実施できるのかという点は、変革人材がどれだけ育っているかで決まってきます。

DXは「主力事業の絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させる両利きの経営です。そのため、DXを推進する際は3つのスキルが求められます。

1つ目は、ビジョンを策定したり、戦略を構築したりする事業リーダーとしてのスキル。2つ目は、デジタルやITを実装するスキル。そして3つ目は、社内調整や組織変革のスキルです。これは、前回のNTT西日本さんの事例(https://kaizenplatform.com/contents/dxdrive2022-report01 )でも触れられていました。

これら3つの異なるスキルを有した人材がチームを組み、DXに取り組む必要があります。

また、DXを実行するためには、データ活用やITの知識だけでなく、マインドやスタンスも重要です。

経済産業省が出している「DXリテラシー標準」では、DX推進に必要なマインドやスタンスを身につけるために、「変化への適応・コラボレーション・反復的なアプローチ・事実に基づく判断・顧客、ユーザへの共感、常識にとらわれない発想、柔軟な意思決定」を学習項目として挙げています。

これらは座学では身につきません。OJTを通じて自分たちの業務の中で実践する必要があります。

GovTech東京でも、「DX人材の確保には、単に採用や育成だけでなく土台となる組織開発が重要」という方針を打ち出しています。

 

組織の課題は、育成と活用

須藤:変革人材であるDXのプロデューサーは、総合職ではなく、専門職と言われています。

プロデューサーと言うと、テレビ局のプロデューサーや映画のプロデューサーを思い浮かべるかもしれませんが、要は専門的なスキルを持っている人のことです。

しかし、例えば3年ごとに人事異動があるとしたら、せっかくプロジェクトを通してDX人材が育ったとしても、3年ごとに育成がリセットされてしまいます。これが組織における課題です。

この課題を解決するためにGovTech東京では、DXのプロデューサーなどDXをリードできる人材をセントラライズ(集中配置)し、プロジェクトにペアでアサインする徒弟制で育成する方法を採用しています。要は、プロデューサーがプロデューサーを育成する形です。

 

人と組織の課題を解決する教育プログラムとは

須藤:現在のDXの人と組織の課題をまとめると、人材育成の課題は、一般的な教育プログラムでは知識のインプット止まりで、マインド・スタンスから変革することが難しい点です。実際にプロジェクト化したり、新規事業を立ち上げたりするなど、実践を通して育成することがカギとなりますが、そういった機会を創ることもハードルがあります。

そして、組織の課題は、DX人材をどう専門職として育て、どう活用していくかという点です。人事異動で育成がリセットされてしまってはDX人材は育ちません。DX人材を専門職として育成する仕組みを創ることがカギとなります。

Kaizen Platformでは、人と組織の課題解決をお手伝いをさせていただいています。弊社のワークショップは、単に知識のインプットだけでなく、自分たちの業務に即したDXプランを作成し、それを実践に繋げるというのが特徴です。

本日、登壇いただいているセンコーグループさまと三井住友海上あいおい生命さまは、それぞれ2021年度から人材育成とDXプランの伴走をサポートをさせていただいています。

ここからは、まさに今人材育成と組織開発に取り組んでいる2社の事例を伺っていきます。

 

センコーグループのDXケーススタディ

ーここからは、センコーグループさまの事例をご紹介いただきます。

 

南里:私たちセンコーグループは物流がコアの事業ですが、物流以外にも商事貿易事業やビジネスサポート、ライフサポートといった領域で事業を展開しています。

センコーグループは2016年に100周年を迎えました。そして、そのタイミングで次の100年を見据え、「センコーユニバーシティ」が作られました。これは、センコーグループの事業領域で最先端のナレッジとスキルを有する人材の育成を通じ、グループ全体の強化と学習風土醸成を目的とした組織です。

センコーユニバーシティのミッションは、“イノベーションによる新たな取り組み、事業創出ができる人材づくり”です。

現在、人口減少や環境配慮、技術革新と外部環境は目まぐるしく変化しています。私たちは、これらの変化に応じて、新たな価値創出が求められています。

当社の歴史を振り返ると、創業期の工場内物流に加えて物流コンサルを開始したり、第二創業期と位置付けてビジネスモデルの変革に取り組んだりと、時代に合わせた価値創出により成長してきました。

今こそ、厳しい外部環境と当社が持つイノベーションマインドを掛け合わせ、「第3の創業」に繋がる事業や人材を生み出すべく活動をしています。

南里氏と吉田氏

写真右:センコーグループホールディングス株式会社 南里 健太郎氏

写真左:センコー株式会社 吉田 聡氏

 

南里:コロナ禍の到来など、いよいよ不確実性が増す時代において、私たちは「構想力」と「デジタル/DX」の2つをキーワードに、人材創出に注力しています。

先程須藤さんからあった両利きの経営で言うと、「知の深化」では、既存の知識を実際に用い、精度をさらに高めていきます。これは従来の人材教育組織にて対応します。

そして「知の探索」では、未知の領域で試行錯誤し、自分の知識範囲を広げていきます。私たちセンコーユニバーシティは、「知の探索」の場のプロデュースに注力しています。

ただ、DXという非常に難易度が高く、かつ迅速に進めるべきプロジェクトを私たちだけで実行するのは難しいと考え、Kaizen Platformと共同で取り組むことにしました。

私たちはもともと研修での学びを現場に実装する確率を上げていきたい、という課題意識を持っていました。そこで、スキルや知識の習得を行う「DXワークショップ」と、その内容を実践し、新規事業の推進や業務の改善を行う「DX実践プログラム」を一連のプログラムとして実施しました。

このプログラムは、センコー株式会社の吉田と、企画から現在に至るまで一緒に取り組んでいます。

 

DXDrive2022資料スライド。主な取り組み。DXワークショップを通じたスキル、知識の取得とその内容の実践による新規事業の推進や業務の改善を一連のプログラムとして実施した

 

南里:DXワークショップは全5回で、対話型の学びでDXについて習得した後、実行プランをまとめます。実践を見据えた内容なので厳しいものではありますが、「失敗を恐れずに、小さくてもチャレンジする」という考えを軸に進めています。

元々意欲の高い受講生も話をしていくと、実践に向けた不安が出てきます。不安を抱えながら走っていく中で、自分たちが本当にやるべきだという当事者意識を持てるようなテーマを設定することが、非常に大事だという気づきを得ました。

そこで、実践テーマの設定は、現場に赴いて部門長や上司、メンバーと対話しながら進めるようにしました。関係者を巻き込みながら進めることで、同じ船に乗っているという認識を持ってもらうことができます。

これまでの取り組みの経緯を振り返ると、まず2021年の7月にセンコーユニバーシティでDXワークショップのパイロット版を実施しました。そこで見えてきた課題をクリアしたものを、センコー株式会社に展開しました。そしてこの後、グループ全体にワークショップを展開する流れになっています。小さく始めて、手応えを掴みながら大きくするという考えを軸に、展開を進めています。

 

DXDrive2022資料スライド。ここまでの取り組み経過。

 

南里:取り組みを進める中で見えてきた景色は3つあります。

1つ目は、ボトムアップで現場から取り組むべきテーマが出てきたこと。2つ目は、テーマを提言する人が育ってきたこと。そして3つ目は、テーマと実践しようとする人を応援する風土や行動が見えてきたことです。

 

話す南里氏

南里:正直、私たちのような長い歴史のある会社において、センコーユニバーシティというのはよく分からない組織だと思います。

しかし、よく分からない組織だからこそ、社内外の組織や人材を繋ぐ接着剤になれるのではないかと思います。

人を繋ぎ、対話できる場作りをする。そこから事業を創出する人材を発見し、その人材を応援する風土や、挑戦するカルチャーを作る。その結果、組織と社会全体に対してポジティブなインパクトを与えるような場所にしたいと、本気で思っています。

 

三井住友海上あいおい生命保険のDXケーススタディ

ー続いて、三井住友海上あいおい生命保険さまの事例をご紹介いただきます。

勝並:私たちが所属するデジタルイノベーション部は、全社のデジタライゼーションの推進、ヘルスケアサービスの開発、デジタル人財の育成など、DX推進を目的に2021年10月に新設された組織です。

本日は、部の新設後、どのように人財育成を進めていったのかお話しさせていただきます。

当社は、2022年4月から中期経営計画(2022~2025年度)をスタートしており、この中でDX戦略を策定しています。DXの戦略を下支えするものとして位置付けられているのが、デジタル人財の育成です。私と林はここに携わっています。

 

勝並 進氏と林 加奈子氏

写真左:三井住友海上あいおい生命保険株式会社 勝並 進氏

写真右:三井住友海上あいおい生命保険株式会社 林 加奈子氏 

 

勝並:最初に着手したのは、デジタル人財の定義です。人財に関わることはすなわち組織に関わることなので、私たちの部署だけで考えず、人事部門と連携しながら議論を重ねていきました。

そこでできたのが、社員のスキルや経験に応じて3つのレイヤーに分けた育成体系です。

 

DXDrive2022資料スライド。デジタル人財の育成体系。

 

勝並:一番下の土台部分は、「デジタル活用人財(デジタルベーシック)」です。DXを推進するにあたっては一定のリテラシーが必要なので、全社員を対象にビジネスに必要な基本スキルや知識の習得を目的としています。

そこから自組織のデジタルツールを使って、業務の課題解決や業務スタイル変革をする人財を「デジタル推進人財(デジタルアンバサダー)」と置きました。

一番上のデジタル専門人財は、データを駆使して意思決定のサポートやビジネス課題解決を担う「データ分析人財(データサイエンティスト/データアナリスト)」と、デジタルを駆使してビジネスの変革やお客さまの体験価値向上を担う「デジタルビジネス人財(デジタルイノベーター)」に分けています。

この中で特に重要なのは、デジタル推進人財とデジタル専門人財です。育成プログラムを企画するにあたり、Kaizen Platformから「ただ知識を得る場ではなく、実践型でアウトプットできる場にしましょう」とご提案をいただき、一緒にプログラムを作っていきました。

 

話す勝並氏

 

勝並:一例として、デジタルアンバサダーのプログラムを説明します。

センコーグループさま同様、インプットとアウトプットの二つに分けてプログラムを考えました。

インプットのプログラムは、「事前課題+3回のワークショップ+振り返りの場」で構成しました。ここで重視したのはチームワークです。チーム組成や、チームビルディング、取組課題を決めて開始することを意識しました。

アウトプットのプログラムは、参加者が課題を見つけた上で何に取り組むかを決め、それを部門長にプレゼンし、実行する流れになっています。毎月ミーティングを行って、進捗状況を発表したり、参加者同士でアドバイスをし合ったりしながら取り組むような設計にしました。また、参加者のモチベーションを上げるために、プレゼンではMVPを選定するという形にしました。

 

DXDrive2022資料スライド。定義を決めて実行(デジタルアンバサダーの例)

 

勝並:しかし、実際始めてみると、参加者の多くはモヤモヤした状態に陥ってしまいました。ワークショップではデジタル技術を学ぶと思っていたのに、そうではなかったので混乱してしまったのです。また、“正解がないこと”を考えるのに慣れていなかったというのもモヤモヤの原因でした。

運営側としては、このモヤモヤをどうフォローするかを考えていました。例として、ある若手社員主体のチームと私たちのやり取りと、それを受けてフォローしたことをご紹介します。

全3回のワークショップのDay1〜Day2開催前に、Kaizen Platformのファシリテーターの方より「メンバーの相互理解には問題はありませんが、議論に対してはやや消極的ですね。積極性を引き出すために、フォローをお願いします」というお話をいただきました。

そこで、Teams等を用いて、ワークショップ当日以外もオフサイトのフォローを開始しました。それにより、参加者からは「自信はありませんが、頑張ります!」という声が出ました。

Day2では、発言自体は増えたものの、積極性が足りないので、ワークショップ中もチャット投稿を増やしました。すると、参加者の発言やリアクションが活性化し、「最後のプレゼンも頑張ります!」や「チームで直前まで追い上げます!」など、相互の議論が活性化されることでモチベーションが高くなっていきました。

最終的に、部長にプレゼンした課題解決プランは、部長から「変革・改善に向けて、部長としてすべきことはすべて行うことをコミットします」というメッセージをいただくほどの内容に仕上がっており、メンバーの成長を実感する結果となりました。このプランは、この後キックオフを控えており、実際にプロジェクトとしてスタートする予定です。

今後の展望としては、当事者意識を持ってDXを推進できる人財を育てるために、3つのことを意識していきたいと思っています。

1つは、継続するためにコミュニティをしっかり作ること。2つ目は、小さな成功体験を積み重ねること。3つ目は、入念に事前準備することで期待値のギャップを減らしていくことです。これからも人事部門と連携しながら、人財育成にしっかりと取り組んでいきます。

 

意欲ある人材を集め、フォローアップする工夫

ーここからは、4つの質問を通じて、大事なポイントをより深堀りしていきます。

 

須藤:1つ目の質問です。やる気のある現場社員は、どう探しましたか? 社員の主体性を引き出すために、心がけたことはなんですか?

 

林:デジタル専門人財である、デジタルイノベーターを例にお話しさせていただきます。

デジタルイノベーターは、社員区分や年齢、役職など関係なく、熱意を持った社員に参加していただきたいと公募を行いました。

ただ、初めての試みなので、応募がくるのか不安がありました。そこで、事前にデジタル人財育成に対する想いなどをスライドにまとめ、それを提示した上で公募を行いました。その結果、定員30名に対して60名もの応募がありました。こんなにも想いに共感し、熱意を持っている社員がいるんだなと実感しました。

話す林氏

 

須藤:想定よりも応募があったとのことで、多くの方が課題感や危機感をお持ちだったということでしょうか?

 

勝並:そうですね。公募前は、全国転勤のある社員から多く応募があるのかなと想定していたのですが、蓋を開けてみると、事務の方や営業職員の方からも応募がありました。担当業務にかかわらず、デジタルに興味を持っていて、かつDXに取り組みたい方が多いことに驚きました。

 

須藤:やる気のある現場社員が集まったとしても、先程お話にもあったように、モヤモヤしてしまう人も出てきます。チャット以外に、どういったフォローをされていましたか?

 

勝並:ミーティングに混ぜてもらうなど、こちらから働きかけて中に入れてもらい、話を聞くことを心がけました。

 

林:自分たちは、このまま進んで大丈夫なのか?という不安を抱えているので、「今皆さんは、こういう状態だけど、それでいいんだよ」と伝えることで、安心するのだと思います。

 

須藤:事務局が介在する価値がありますね。続いて、センコーさまにもお話しを伺いたいです。

 

吉田:DX推進部ができたのは2年前だったんですが、正直「DXってなに?」と誰も分からない状態でスタートしました。ただ、進めていく中で、既存の業態がそのまま続くわけではなく、大きく変えていかなければならないと感じるようになりました。

それを理解している人でなければ、新しいセンコーを作る人材に育たないので、グループ全体の3万人の中から意欲がある社員をエリアごとにピックアップしてもらいました。

 

須藤:役員の方に欲しい人材を伝えて、それを踏まえて指名された人に集まっていただくという形ですね。この方々をしっかり盛り立てながら、最後まで完走をしてもらうために心がけていたことはありますか?

 

南里:三井住友海上あいおい生命保険さまと同様、参加者たちのミーティングに私たちも入るようになりました。そこでは、上から目線ではなく、同じ目線で対話するようにしました。

 

勝並:全く同じで、びっくりしました。私たちも、お兄さん、お姉さんのような立ち位置で、リードはあまりせずに聞き役に回っていました。

 

須藤:DXにおいては、トップダウンでなく、現場で起きていることを上手く抽出するのがポイントなので、両社とも凄く工夫されているなと思いました。

 

決済者を巻き込む土壌づくりの重要性

須藤:続きまして、2つ目の質問です。経営層・役員など、実業務とは少し距離の離れた決裁者をうまく巻き込むにはどうしたらいいでしょうか?

 

吉田:幸いにも、弊社代表は「チェンジ&チャレンジ」を掲げているので、経営層や役員も根底にこのスピリットがあります。だから私たちとしては比較的やりやすかったですね。

 

話す吉田氏と須藤

 

吉田:現場から出てきた貴重なアイデアを「私たちが育てます」ということを伝え、各事業部に即したものかどうか見極めて支援を進めています。

 

南里:たとえ仮説段階でも関連する事業部に共有します。課題感を持っているお客様や従業員の声もセットで伝えれば説得力も増すので、そういったコミュニケーションを取るようにしています。

 

須藤:なるほど。三井住友海上あいおい生命保険さまにもお伺いしたいです。

 

林:当初から人財育成は会社全体の取り組みという位置付けだったのと、昨年度中に役員向けのDXに関する説明会で「人と組織が大事」と伝えていたので、自然と関連部長や役員の方々が、連携して動いてくださりました。

 

現場での連携を強めるカギは、共通認識

須藤:3つ目の質問です。当該部門の上長や、所属社員など、現場での連携を強くするために工夫できることは何ですか?

 

林:デジタルアンバサダーに関しては、公募ではなく、各所属長から選ばれた人材を集めました。選出する際の基準を明確にするために、須藤さんに「なぜDXなのか、誰がやるべきなのか、どのレベルでやるのか」とDX推進の意義をお話しいただく講演会を開催しました。

 

勝並:「DXは泥臭いことを行う」というのを共通認識にするために、須藤さんの本も全部長に配布しました。また、メンバーによるプレゼン前には、「以前お伝えしたDX推進の意義を改めて意識し、プレゼンを聞いてください」と伝えました。連携を強くするために、認識を揃えることを特に意識するようにしましたね。

 

須藤:ありがとうございます。センコーさまはどうでしょうか?

 

南里:良い事例として、ある受講者は学んだ内容や疑問点を部署で共有していました。そうすると部署内で自然とキャッチボールが生まれ、受講者以外のメンバーも「面白そう」となり、うまく連携できている様子が伺えました。

 

吉田:一方でうまく連携ができないケースもあります。通常業務に追われている部署において、やるべき業務と異なる場合にせっかくDXプランを作っても、所属長は通常業務を優先してしまうことがあります。

そのプランは一個人のものではなく、会社を良くするための取組みなんだと部署全体で理解してもらうよう進める必要があります。

 

話す吉田氏

 

DXの本質理解し、実践する人が増えることが成果

須藤:最後、4つ目の質問です。DXは正解のない・見えない取り組みです。特に初めのうちは、何を「成果」としていますか?

 

南里:正直、吉田とタッグを組んで始めの頃は、Kaizen Platformさんにも入ってもらって、ホームランをカッコよく打ちたいなと思っていました。

けれど、受講者が「自分たちの仕事の課題やお客さまの課題をなんとかしたい」と取り組んでいる姿を見て、小さな一歩を踏み出す回数が成果なんだなと感じました。

 

吉田:DXの正解は分かりません。だから僕は、成果は今すぐ見えないし、これからも見えないかもしれません。ただ、私たちは受講者が成長する過程をリードすることはできます。成果は見えないけれど、5年後、10年後、今回のDX人材育成のプロジェクトが、一人ひとりを変えていくスタートになればと思います。

 

須藤:三井住友海上あいおい生命保険さまはいかがでしょうか?

 

勝並:DXはデジタルツールを駆使して、まるで魔法の杖のようにいきなり課題解決できるものと思われがちです。しかし、実際は地道に取り組んだり、悩んだりすることが凄く大事です。

普段の仕事でそういう機会は少ないので、ワークショップを通して、それを実感してくれる人をたくさん作れたのは成果と言えるのではと思います。

 

林:ワークショップ終了後も、モヤモヤ悩みながらも継続してDXを推進していく人財になって欲しいと考えています。

 

DX人材教育のポイントは、研修と実践の接続

ー須藤さんからまとめをお願いします。

須藤:ゲストの2社は全く業界は違いますが、抱えている課題や、工夫されていることはすごく共通点が多いと感じました。

DXで大事なのは、人です。人というのは、単にデジタルが分かっている人ではありません。デジタルが分かって、業務に精通して、変革しようという人です。これが求められるDX人材です。

DX人材を育てる際は、研修で学んだ内容をどう実践に繋げていくかが非常に大事です。我々もこの接続の部分をどう設計するのがベストかを常に考えながら、これからも伴走させていただきます。

全員の集合写真

 

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