国内外のDX先進事例の紹介に加えて 今年話題となったAIの進化やDX人材育成までを網羅
#DX白書2023
大きな反響をいただいた「#DX白書2022」を大幅にアップデートし、ディズニー等のDXの次に進もうとしている企業の先進事例やそれらを取り巻くAI/Web3などのDXトレンド紹介、そしてDXを推進するための人材戦略まで、検討のヒントになる情報を多数詰め込んだ内容となっております。
国内外のDX先進事例の紹介に加えて 今年話題となったAIの進化やDX人材育成までを網羅
#DX白書2023
大きな反響をいただいた「#DX白書2022」を大幅にアップデートし、ディズニー等のDXの次に進もうとしている企業の先進事例やそれらを取り巻くAI/Web3などのDXトレンド紹介、そしてDXを推進するための人材戦略まで、検討のヒントになる情報を多数詰め込んだ内容となっております。
TikTokに興味はあるもののどうすればいいかわからない方
縦型動画を試してみたいけど、アサイン、ディレクションに対してノウハウが無い方
一度は試してみたけど、成果が出ず伸び 悩んでいる方
DX推進のご担当者、事業責任者の方
新規事業や組織改革を担う事業責任者の方
マーケティング担当、Web担当の方
著者: Kaizen 編集部
リテールメディアとは、小売・流通・EC事業者が保有する広告媒体のことです。広告媒体の例として、店頭に設置されたデジタルサイネージやECサイト、アプリなどが挙げられます。複数媒体を連携して広告を配信することで、メーカーは消費者に対して自社商品を効果的に訴求できるようになります。
リテールメディアは海外の小売業界ではすでに普及していて、日本では一部のスーパーマーケットやドラッグストアなどで利用され始めました。しかし、一般化したと言える状況ではないため、リテールメディアの意味や仕組み、効果などを把握しきれていない方もいらっしゃると思います。
本記事では、リテールメディアの基礎知識や注目される背景、メーカーが行うべき戦略、取り組むメリットや活用事例などを分かりやすく解説します。後半には、取り組み方や施策例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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英語圏を中心に海外では、リテールメディアへの投資が進んでおり、今後は日本でもリテールメディアの市場が成長していくと予測されています。リテールメディアは取り組み次第で、店頭での売り上げも左右されるため、どのように活用してくかが重要です。
リテールメディアを効果的に活用したい方に向け、これまでKaizen Platformが支援して得た知見や実績に基づいた『SNS売れをつくるリテールメディア活用法』をお届けします。
商品の売り上げを最大化したい方や、リテールメディアの活用方法にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
▼目次
リテールメディアとは、ECサイトや専用アプリのオンライン広告、店舗のサイネージ広告など、小売店が提供する広告媒体のことです。メーカーやブランドなどの広告主が、媒体社として小売店が運営するメディアに出稿する仕組みです。
顧客の購買データや店舗アプリの利用ログ情報など、小売事業者が持つ「1st Partyデータ」(自社で収集した顧客データ)を活用してターゲティングできます。
リテールメディアのメリットは、オンラインでの広告配信やクーポン配信、店頭での販促活動やサイネージ広告により、直前に接触した広告で購買を促せる点です。
広告主であるメーカーは詳細な顧客データを基に精度の高い広告配信ができ、小売店はメーカーと共同販促しながら広告収益を得られる仕組みとして、国内外でリテールメディアに注目が集まっています。
オンラインとオフラインを統合させたマーケティング戦略にはリテールメディアだけでなく、OMOやオムニチャネルもあります。ここでは、それらがどのような違いがあるか見てみましょう。
OMO(Online Merges with Offline)とは、ECサイトやアプリなどのオンラインと、実店舗などオフラインで収集したデータを統合し、顧客体験(CX)の向上を図るマーケティング手法のことです。OMOの例として、ECサイトでスマートフォン決済した商品を店頭で受け取るなど、オンラインとオフラインをシームレスに統合した顧客体験が挙げられます。
OMOを活用することで、顧客の行動・購買データをオンラインとオフラインの両方で把握することができます。
これらのデータを基に、パーソナライズされた広告をリテールメディアで表示させることで、売上の増加に繋げられるため、両者の親和性は高いと言われています。
オムニチャネルとは、オンライン広告やECサイト、SNS、メールマガジン、折込チラシ、DMなど複数の顧客接点を統合し、購買へ繋げるマーケティング手法のことです。例えば、オンライン購入するとポイントが貯まる店舗アプリに、実店舗へのチェックインでもポイントが貯まるような仕組みを作ると、顧客接点を増やすことができます。
リテールメディアとOMO、オムニチャネルは、どれも「オンラインとオフラインを統合する」という点は一致しています。しかし、以下の表でまとめたように、誰視点の戦略で行われているかがそれぞれ異なります。
リテールメディア |
OMO |
オムニチャネル |
|
誰視点の戦略か |
メーカー、小売店、 |
顧客 |
事業者 |
OMOは顧客視点、オムニチャネルは事業者視点であるのに対し、リテールメディアは、メーカー、小売店、顧客が満足する「三方良し」と呼ばれるビジネスモデルであるため注目されています。
リテールメディアは、広告を出稿するメーカー・ブランドなどの広告主、ECサイトやアプリなどをメディア化する小売・流通・EC事業者、そして消費者の3者に効果があると期待されています。ここでは、それぞれのメリットを紹介します。
メーカーやブランドなど広告主にとって、小売店が保有する顧客データである1st Partyデータを活用できる点が、リテールメディアを導入するメリットです。
来店データや店内の顧客行動、購買活動などの一次データを利用することで、より質の高いターゲティングが実現するでしょう。広告効果を検証する精度も高まり、PDCAを回して改善できるようになります。
小売、流通、EC事業者にとって、リテールメディアを活用して広告収入を得られる点が大きなメリットです。
小売店の顧客IDや、購入商品と顧客を紐づけるID-POSなどを活用することで、効果的なプロモーションを実施できます。例えば、高度なターゲティングによって顧客ニーズに合った広告やクーポンをタイムリーに配信することで、購買を促し収益拡大が可能です。
メーカーの協賛を獲得しやすくなり、新たな収益拡大に繋がるでしょう。
消費者は、自身の興味関心に合った情報を取得できる点がメリットです。
オンラインやオフラインの両方の媒体で、最適なタイミングで必要な情報を受け取れるでしょう。関心の低い広告や配信は削減されるので購入体験の価値が向上し、ショッピングをより楽しめるようになります。
リテールメディアは海外の小売業界で幅広く浸透しており、2022年のアメリカの推定市場規模は約6兆円と見られている一方で、日本の市場規模は約135億円と予測されています。
まだ普及しているとは言えない状況ではあるものの、1st Partyデータを活用する重要性の高まりやリテールDXの推進、購買行動の変化などにより、国内でもリテールメディアを活用する重要性が増してきました。
ここでは、国内でリテールメディアが注目される背景を解説します。
リテールメディアが注目される背景として、プライバシーや個人情報保護を目的とした、近年の3rd Party Cookieを規制する動きが挙げられます。
Cookieとは、ユーザーがWebサイトへ訪問した際、Webブラウザに行動ログや入力情報を一時保管する仕組みのことです。これまで広告主はCookieを取得し、オンライン広告のターゲティングなどに利用していました。
しかし現在、広告主が取得するCookieよりも小売店が保有する1st Partyデータ(一次情報)の重要性が高まっています。国内外の法律で3rd Party Cookieの規制や廃止が進みWeb広告のターゲティング精度が落ちたからです。小売店のプラットフォームで取得した1st Partyデータを広告配信に活用すると、メーカーは精度の高いパーソナライズができるようになります。
リテールDX(小売DX)とは、デジタル技術を駆使しながら仕入れから販売までの業務において新しい仕組みを構築することです。IoT技術の発展により、リテールDXが推進されて高度なマーケティング活動を実施する基盤が整った点も、リテールメディア導入の後押しとなっています。
リテールDXの例として、AI活用による来店予測や店舗分析、デジタルサイネージの導入、オンラインとオフラインのデータ統合・活用などが挙げられます。すでにリテールDXを進めている実店舗であれば、蓄積された購買・行動データを使って消費者のニーズに合った広告配信ができるため、リテールメディアを導入しやすいでしょう。
消費財市場では実店舗で購入する顧客が多い点も、リテールメディアが必要とされる背景の一つです。「TikTok売れ」や「SNS売れ」と言われるように、オンラインで宣伝した商品が爆発的に売れるケースは増えています。しかし、化粧品などの消費財はまだまだ実店舗での購買が多く、オンライン購買はさほど伸びていないのが現状です。
2022年にNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が報告した「化粧品購入行動に関する調査結果」によると、化粧品の購入場所で最も多いのが「ドラッグストア」の83.9%、「ECサイト」は34.1%に留まりました。3年前の29.6%と比べても、微増となっています。
消費財メーカーはSNSで販促活動を実施して、シームレスに店舗での購入に繋げられれば売上の増加に繋げることも可能です。
メーカーは、オフライン(実店舗)とオンラインの2つのチャネルを活用したハイブリッド戦略を行うことが重要です。なぜなら、認知の相乗効果や市場の変化への迅速な対応が行えるからです。さらにハイブリッド戦略は、SNSで見た商品を実店舗で購入する日本特有の購買行動に適していると言えます。
ここでは、メーカーが行うべきハイブリッド戦略における3つの効果を解説します。
ハイブリッド戦略を取ることで、認知の相乗効果が期待できます。ある商品を「ECサイトでも見るし、店舗でも見る」という状態を作り出せば、認知が高まりブランドへの信頼が向上します。
これまでメーカーは、顧客に来店を促すためにテレビCMやオンライン広告などを活用してきました。今後は、テレビやECサイトなどで見た商品を店頭のデジタルサイネージ広告でも配信することで、商品認知の相乗効果を図れます。
さらに、商品への認知が向上した状態の顧客にアプリからクーポン配信を行うことで、購買をより促すことができます。
日本市場の多くのカテゴリーは成熟しており、競争が激しい寡占市場となっています。
マーケティングや販売手法の変化に対応して勝ち抜くには、メーカーは複数のチャネルを持つ必要があります。単一の媒体だけで売り込むと、市場の変化に対処できなくなるからです。例えば、SNSやアプリ広告などのオンラインだけのアプローチでは、店頭で購入を促す後押しができません。逆に店頭でデジタルサイネージやPOPを使うだけでは、顧客に商品を認知してもらう機会が減り、購買に繋がりにくくなるでしょう。
そこでオンラインとオフラインを融合するリテールメディアを導入し、店頭とオンラインをつなぐことで、複数の媒体から顧客の購買・行動データを取得して統合でき、複数のチャネルで顧客にアプローチできるようになります。
日本はSNSやデジタル広告で商品を知ったとしても、オンラインでは購入せず店舗に出向いて買うという行動を取る人が多い傾向にあります。
SNSで商品を知って実店舗で買う「SNS売れ」を例として見てみましょう。メーカーは、顧客が商品を購入して実際に使ってみたくなるようなコンテンツを企画して制作し、SNSと小売店の両方で同じコンテンツを配信します。そうすることで、顧客は店頭でも見慣れたコンテンツを目にすることで商品の認識が一致し、購買活動が促進されます。
オンラインとオフラインの複数媒体を活用するリテールメディアは、日本特有の購買行動になじみやすいと言えます。
リテールメディアは、オンラインとオフラインでさまざまものがあります。ここでは、リテールメディアの代表的な例として、オンラインの媒体(ECサイト、アプリ広告)とオフラインの媒体(デジタルサイネージとPOP)を紹介します。
小売事業者がECサイトを運営している場合、顧客が商品の検索した結果画面にメーカーの関連商品を広告として表示できます。メーカーは商品の認知拡大ができ、顧客は新しい商品の発見に繋がります。ECサイトを運営する小売事業者にとっては、広告収入を獲得でき新たな収入源の確保が可能です。
小売事業者が自社アプリを保有している場合、会員の登録情報や行動履歴などの1st Partyデータを取得できます。1st Partyデータを活用してアプリから広告配信を行うと、ターゲットに最適な広告を提供できます。
また、店内に信号の発信によって利用者の位置が確認できるBeacon(ビーコン)を設置しておけば、来店中の顧客のアプリにプッシュ通知が可能です。実店舗における顧客とのタッチポイントを生かしながら、オンラインでも新たなタッチポイントを持つことができます。
リテールメディアを運営するうえで、店頭に設置するデジタルサイネージには重要な役割があります。デジタルサイネージは、紙のPOPでは伝えられない音や動きを表現するため、人の記憶に残りやすい点が特徴です。
例えば、夏にアイスコーヒーをデジタルサイネージで宣伝すれば、「おいしそう」「飲んでみたい」と感じてもらいやすくなります。また、時間帯や曜日によって簡単に配信内容を変更できます。週末は家族向け、平日は会社員向けの内容にするなど、利用する顧客層に最適な情報提供が可能です。デジタル広告と連動させると、SNSやECサイトで見た広告が店頭でもリマインドされ、商品を想起するきっかけとなり購入を後押しできます。
メーカーとリテールが共同で販促計画を立て、エンド棚にデジタル広告と連動したPOPも効果的です。例えば、スーパーで新発売のお菓子を宣伝したいなら、メーカーがSNSやECサイトで配信した宣伝内容とスーパーのPOPのデザインを一致させれば、「この商品が一番おすすめされている」と顧客に知ってもらいやすくなります。デジタルから店頭まで一気通貫して広告を展開することで、商品の訴求効果が高まるでしょう。
次に、リテールメディアの活用方法をイメージするために、国内外の7つの事例を紹介します。
出典:ECも店舗もすべての買物体験をひとつのアプリに集約する|MD NEXT
大手小売業であるWalmartは、米国でトップ10に入る広告プラットフォームを目指し、リテールメディアを展開し始めました。自社サイトや独自の配送サービス、アプリに顧客の購買を促すためにスポンサー商品の広告を配置しています。
さらに、約5,000店舗に17万台ものデジタルサイネージを設置。独自に取得した顧客データを活用し、日時や地域を特定してブランドメッセージを配信しています。その結果、2022年におけるウォルマートの広告収入は27億ドル(2023年現在の為替レートで約3,823億円)となり、前年比で約40%増となりました。
参考:クライアントが広告業界の脅威に!? ファミマも参入した「リテールメディア」の破壊力|ITmediaビジネス
出典:Amazonでの販売促進にスポンサー広告を活用|Amazon
ECモールのAmazonでも、リテールメディアを導入しています。Amazonのリテールメディアでは、スポンサー商品や関連商品の広告が検索結果に表示される点が特徴です。顧客の関心が高い商品が表示されるため、広告と気づかれずにクリックされる確率が高くなります。
2023年2月にAmazonが発表した業績報告によると、同社の広告サービス事業における第4四半期の売上高は116億ドル(2023年現在の為替レートで約1兆6,035億円)でした。前年同期と比較して19%の増加となり、成長を続けています。
参考:グーグル・メタを差し置いて、アマゾンの広告事業が伸び続ける3つの理由
出典:セブンのリテールメディア統括が語る広告戦略の全貌 アプリが要|日経クロストレンド
セブン-イレブン・ジャパンは、少子高齢化や原材料価格の高騰などが原因で、売上を伸ばし続けることに課題を感じていました。そこでリテールメディアを取り入れ、会員数が2,000万人を超える自社アプリを活用し、1st Partyデータに基づいた広告配信を実施しています。
アプリ内のトップバナーに広告枠を設置し、クーポンを配布することで購入を後押しでき、購入率が数倍になったと言います。今後は、店舗内のデジタルサイネージを使った広告配信にも注力する予定です。
参考
出典:1万店以上にサイネージを計画。ファミリーマートのリテールメディア事業が生み出す可能性とは?|Agenda note
ファミリーマートは、全国で約3,000店舗のレジ上にデジタルサイネージを設置し、地元企業からの広告出稿を募りながらエリアごとに配信内容を変えています。24時間の営業時間の内、消費者がメディアに触れる機会が比較的少ない昼間にコンビニを訪れ、デジタルサイネージを目にすることで、リーセンシー効果を高めることが期待できます。
実際、デジタルサイネージを見た可能性の高い人と、IDに紐付けたデータを確認すると、購買活動に影響を与えていたことが分かりました。
参考:リアル店舗の生き残りは「店舗のメディア化」|Japan Innovation Review
出典:ヤマダホールディングスとアドインテが DX 推進における店舗メディア化で協業!|株式会社ヤマダホールディングス
家電量販店のヤマダデンキは、テレビの試聴時間が減りテレビCMの効果が落ちている点に課題がありました。そこで、新たな集客方法として、ポイントカード会員と連携させたデジタル広告の運用を開始しています。店頭ではデジタルサイネージで入店を促進し、店内に設置したIoT端末を活用してアプリへプッシュ通知する仕組みです。
さらに、商品棚に設置したデジタルサイネージでも広告を配信し、購買を後押しします。顧客が店を出た後も、モバイル広告を配信して再来店を促すようにして、お客様の買い物体験を向上させています。
参考
出典:メーカーとマツキヨが共同販促「Matsukiyo Ads」- 来店・売上ともにアップ|Think with Google
マツモトキヨシでは、競争の激しいドラッグストア業界で規模と利益の両方を追求し、LTV(顧客生涯価値)を高める戦略の一環として、リテールメディアを導入しています。マツキヨポイントカードアプリとデジタル広告プラットフォームを連携し、メーカーが出稿した広告が会員に配信されます。その後、店頭で商品を購入したかどうかまで分析できる仕組みです。
実際、あるメーカーの商品を動画広告で配信し、来店と購入を促したところ、全アプリ会員数の4%が商品を購入。施策前と比べると、176.7%の増加となりました。リテールメディアを活用することで値下げに頼らない販促が実現するため、メーカーからも好評で、さらなる展開に期待が寄せられています。
参考:メーカーとマツキヨが共同販促「Matsukiyo Ads」- 来店・売上ともにアップ|Think with Google
ユニリーバのグループ会社で自社ブランドの化粧品などを提供しているラフラ・ジャパン株式会社は、ECと小売店(LOFTの店舗)でどのような施策を打てばいいか検討していました。そこで、TikTok広告とデジタルサイネージでの配信を組み合わせるリテールメディアを展開し、全国のLOFT店舗で棚を獲得。3つの配信パターンの効果を比較したところ、以下の結果となりました。
1.TikTok動画のみの店舗は、前年比で売上数が108%(グラフ左)
2.TikTok動画+デジタルサイネージ配信の店舗は、前年比で売上数が221%(グラフ中央)
3.TikTok動画+デジタルサイネージ配信+エンド棚の店舗は、前年比で売上数が326%(グラフ右)
SNSの動画配信と店頭と連携することで売上が伸びることが分かったため、今後はこのリテールメディアの手法を横展開する予定です。
参考
次に、メーカーがリテールメディアに取り組む際の一般的なステップを5つに分けて紹介します。
リテールメディアに取り組むにあたって、まずだれに配信するかが重要です。
まずは、店舗やECサイトを利用する顧客層を分析し、購買意欲の高いユーザー層を把握しましょう。顧客行動、性別、年齢、居住地域などデモグラフィックデータに基づいた分析を行うことで、より効果的にターゲットを決めることができます。
次に、リテールが保有するどの媒体で広告配信するかを選定します。どの媒体ならターゲット層が多いかを判断するために、「ECサイト・アプリの利用者層」、「店頭に訪れる消費者のデータ」などをリテールから受け取りましょう。
それらに基づき、最適なリテールメディアの媒体を決定します。
媒体が決まったら、デジタル広告でプロモーションを開始します。リテールの専用アプリやECサイトを使って商品を宣伝します。リテールが取得した1st Partyデータに基づきクーポン配信やセグメント配信を行い、来店や購入を促しましょう。
オンラインのプロモーションと連動させて、店頭プロモーション(インストアプロモーション)も実施しましょう。店内に設置したデジタルサイネージにデジタル広告と同じ内容を配信したり、デジタルサイネージを見たタイミングでアプリにクーポンを送付したりすると効果的です。また、目に留まりやすいエンド棚を使った集中的なプロモーションも購入の後押しになります。
リテールメディアのプロモーションを実施して、終わりというわけではありません。リテールメディアの効果を最大限に発揮するためには「PDCAを回し、改善し続けること」が非常に重要です。
リテールのデータを活用して、成果を検証する必要があります。例えば、デジタル広告を見た顧客のうち、「来店に至った数」や「購入に至った数」などを分析し、具体的にどこのフェーズに問題があるかの仮説を立てるようにしましょう。
例として、デジタル広告を見たユーザーの購買率は高いが、そもそもの来店率が少ない場合は、「現在の訴求が響いていない」や「媒体を選定し直す必要がある」などの仮説が立てられます。仮説に基づいた対策案を実施することで、効果的な改善に繋げられます。
リテールメディアの運営を成功させるには、ECサイトと実店舗のハイブリッド戦略が効果的です。
オンラインとオフラインを連携して広告配信することで、顧客に対して一貫性のある訴求ができるようになります。
今後、3rd Party Cookieの規制が進み、1st Partyデータの重要性がますます高まると考えられます。広告のROI最大化を図るためにも、リテールが保有する一次情報に基づいたリテールメディアを活用することが重要です。
ぜひこの機会に、自社商品の宣伝にリテールメディアの活用を検討してみてはいかがでしょうか。