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2021/05/28 (金)
DX Drive 2021レポート〜Session2 老舗企業が直面した「DX化の壁」と、その乗り越え方

著者: Kaizen 編集部

『DXを流行り言葉で終わらせない』

そのために大事な「成功も失敗も含めたナレッジ」や「業界を超えた人材」の交流を目的として、KaizenPlatformが2021年2月に開催した「DX Drive 2021」。

本記事では、日本企業のDX実装を加速させるべく、業界を超えた実践者が集い、互いの成功・失敗を分かち合った各セッションのレポートをお届けします。


Kaizen DX 導入事例

寺田倉庫株式会社

MINIKURAグループリーダー 月森 正憲 氏

 

事業内容

1950年に創業し、トランクルーム事業に加え、ワイン・美術品・貴重品・映像メディア・機密文書などの保存・保管事業を行っています。2012年、Webサービスとして次世代型トランクルームともいえるサービス「minikura」を開始し、現在はWebを活用した保管事業と、拠点である天王洲をアートの一大拠点にするための街づくりにも取り組んでいます。


 

寺田倉庫はどのようにDXを実現したか?

トランクルーム事業や、ワイン・美術品・貴重品・映像メディア・機密文書などの保存・保管事業を展開している寺田倉庫では、2010年頃、既存事業は安定していたものの、この先どのようにビジョンメイクをして成長・変化していくべきか、将来に備えた打ち手が必要な状況でした。この時、このまま同じ市場にいることが寺田倉庫らしさなのかを議論した結果、「そうではない」という判断に至りました。

とはいえ当時、‟ニッチな山をたくさん作り、その中でオンリーワン・ナンバーワンになる”ことが寺田倉庫らしさなのではないかと考えていましたが、新たな事業を立ち上げることで寺田倉庫らしさを失ってしまうのではないか、という危機感もありました。そこで、今まで培ってきた事業をベースに、“付加価値”を変えて次世代のサービスを作ることになりました。この時に誕生したのが、寺田倉庫がDX化の進化を遂げるきっかけとなった「minikura」、次世代型トランクルームです。

 

サービスの特徴は3つあります。1つ目が「オンライン完結」です。これまでのトランクルーム事業は業界として古い商慣習があり、対面での書面契約のため、お客様に現場までお越しいただくことが必須でしたが、それらをオンラインで完結できるようにしました。2つ目が「マイページ管理」です。トランクルームに預けているものをお客様が忘れてしまうこともあるため、モノを一点一点管理できるという寺田倉庫がこれまで培ってきたノウハウを活かし、預けられたモノを写真撮影して、マイページで管理できる仕組みを整えました。最後に「低価格」です。「1箱275円(税込)~」と利用のハードルを下げました。

 

「minikura」は、‟モノに最適な保管方法”という付加価値を加えることを考えたラインナップを用意しています。箱の中身を撮影して1点、1点をオンライン管理できる「minikura MONO」以外にも、プライバシーを守るため箱のままお預かりする「minikuraHAKO」や、本の“タイトル”までを管理できる「minikuraLibrary」、そのほか、洋服であればクリーニングなどのオプションを付けることができます。また、他企業様とのアライアンスの取り組みを推進するため「minikura API」も開発しました。

現在、入庫累計箱数は60万箱を超えており、コロナ禍における新しい生活様式として多用化するライフスタイルにもマッチし、さらに入庫箱数が伸びています。

寺田倉庫のDX化を振り返ってみると、アナログの時代は他社と同様、書面や台帳による管理を行っていました。現代と比べると業務効率は非常に悪く、業務上の制約もあり、お客様は法人や大口の個人に限られていました。業務のデジタル化が進むと、同じ業態のままでも業務効率化によりコストが下がり、顧客層を拡大して成長することができました。そして2000年代中盤から起きた通信環境やデバイスの変化、クラウド化の流れにより、業務システムやオンラインの仕組みを作り、「保管」に様々な付加価値を結びつけることでターゲットを一般消費者にまで拡大できました。

 

アナログの時代は、顧客:「書面」法人中心、倉庫会社:「台帳」「保管」、事業の進化:低い業務効率から顧客層限定。 業務のデジタル化は、顧客:「オンライン」法人中心、倉庫会社:「デジタル管理」「保管」、事業の進化:業務効率化から利益・顧客拡大。 新事業(DX)は、顧客:「オンライン」一般コンシューマ、倉庫会社:「デジタル管理」「保管+付加価値」、事業の進化:新たな顧客体験の創造から”mikimura”

このように振り返ると、寺田倉庫は“正常進化”を遂げて「minikura」のサービス開始に至ったようにも見えます。しかし、「業務のデジタル化」から、新たな顧客体験や既存のビジネスモデルと異なる新事業を創造し、新事業に限らず業務改革につなげるためには「DXの壁」を乗り越える必要がありました。

 

新しい価値を生み出す‟起点”を意識

先に、「minikura」を立ち上げる際に意識した2つのポイントをお伝えします。ひとつは「自社のミッション」。我々に限らず倉庫会社のミッションは「モノを託される存在であること」です。お預けいただくということは、大切なモノを手元から離して当社に預けていただくということなので、そうしたお客様の思いにきちんと応えることが大切です。もうひとつは「自社の強み」です。サービスを考える際に社外の方々にご相談していた中で、「倉庫会社はそんなことまでやってくれるの?」と感動していただいたことがあり、それまで当たり前だと思っていた自社の強みを再認識することができました。

ミッションを強く意識する。モノを託される存在であること「お客様は大切なものを手元から切り離し弊社に預けて頂く。この想いに応える。」は基本中の基本。「それ以上の役目は何か?」を強く意識した。 自社の強みを再確認する。モノを取り扱う強み、どのように扱えば、モノにとって、お客様にとって最適なのか、はわかっていた(元々存在していた)。(それは当たり前として)「強み」として認識していなかった。

こうした点を意識しながらサービスを立ち上げるにあたり、3つの「DXの壁」に直面しました。まず、新しい事業を立ち上げることは未知の領域でしたので、本当にできるのか疑心暗鬼になることもあり「社内の理解」を得ることに苦労しました。しかし、社長自身も会社の危機感を持っており、チャレンジすることを積極的に後押ししてくれたため、社内の理解を得て進めていくことができました。

2つ目は、担当者である自分自身の「経験のなさ」です。私自身、新規事業に携わったこともなければ、エンジニアの経験もないため、Webサービスを作れるのか、とても悩むこともありました。そこで、“やれること・やれないこと”をきちんと割り切り、周囲を頼りながら、自分でできることは精度を高めていくことにしました。

最後に「仲間作り」です。社内でできないことに対して、無理にリソースを確保するのではなく、社外のパートナーと協力して一緒に“夢”を温めることが大切です。

社内の理解:当初事業規模の小ささ、短期・保守的に触れがち、解決方法:理解を得られる経営リーダーの支援獲得。 経験のなさ:運用・営業中心の経験、トランクルームは未経験、解決方法:やれること/やれないことを割り切った。 仲間づくり:危機感の共有困難、知見ある人材不足、解決方法:外部パートナーの積極活用。

これらの壁を乗り越え、倉庫会社から“インターネットサービスのプレイヤー”として周囲から見てもらえるようになり、今まで関わりがなかった方々にも仲間になっていただきました。そして、‟自分たちもやれるんだ”という会社全体の意識を変えるきっかけになりました。

 

「minikura」のビジョンは“インフラ”になっていくことです。トランクルームという括りを超え、生活に密着したサービスとして進化を続けていくためにも、我々自身で気づかないことをKaizen Platformさんにアドバイスいただきながら事業を成長させてまいります。

KAIZEN PLATFORMのDXの強みは、戦略立案にとどまらない実践力。
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