女性向けランジェリーやパジャマ、ルームウェアといった衣服の企画、通信販売を手がけるブランド、ピーチ・ジョン。カタログ販売からスタートした同社には、ウェブ上のクリエイティブを制作するクリエイティブ部があり、静止画やLP、そして動画を制作し、ウェブ上でもブランドイメージを確立、ECサイトでの売り上げにつなげています。
ウェブでブランドイメージを発信し、ECサイトを通じて直接消費者に販売する「DtoC」というビジネスモデルが一般的になる中、ピーチ・ジョンでは動画時代に合わせ、動画に注力しているそうです。以前まで動画クリエイティブを内制する体制が整っていなかったピーチ・ジョンが、Kaizen Adの導入によってどのように動画施策へ力をいれているのでしょうか。お話をお伺いしました。
プロフィール
株式会社ピーチ・ジョン
(写真右)
クリエイティブ部 WEBデザイン課 課長
兼 カスタマーデライト向上インフラ推進部
尹 永淑
(写真左)
クリエイティブ部 WEBデザイン課
WEBデザイナー
青池 玲菜
静止画だけでなく、動画でストレートに商品のよさを伝えたかった
ーWEBデザイン課の業務について教えてください。
尹 永淑氏(以下、敬称略):ピーチ・ジョンではECサイト運営に注力しています。その中でもWEBデザイン課は、カタログ撮影の素材を活用し、販売につなげるためのクリエイティブを制作、ウェブ上でコンテンツを展開することが担当領域です。
他社さんの場合、PRやマーケティング担当の方がクリエイティブを制作される場合が多いと思いますが、ピーチ・ジョンではクリエイティブ部が一括して管轄しています。具体的には、広告バナーやSNS向けのクリエイティブ、LPなどが対象ですね。
ーなぜ動画に注力していくことになったのでしょうか。
尹:下着の質感や着心地を伝えるには、静止画よりも圧倒的に動画のほうが適しているからです。パジャマはコットンとシルクでは質感が違いますし、ブラジャーのワイヤーの硬さも商品によって違ってきます。そうした商品訴求は動画だからこそストレートに伝えることができます。アニメGIFで頑張って表現しようとしたこともありましが、やはり動画は一番いいとの結論に至りました。
ーWEBデザイン課で動画を制作されたことはありましたか。
青池 玲菜氏(以下、敬称略):私自身もそうなのですが、ウェブデザイナーが多いチームであり、動画の編集ができるメンバーはいませんでした。
また4,5年前からのことですが、デジタルサイネージが導入されるようになってきたことで、実店舗で使用する動画が必要になるケースが急増するようになりました。しかしそこで映し出される動画は、ストア担当の方が既存の写真を組み合わせてなんとか制作した、急ごしらえのものだったんです。
そうした現状から、動画制作の体制を構築しなければと強く考えるようになりました。
ー他にはどのような課題があったのでしょうか。
尹:制作の費用に関する課題ですね。何十万もかかって動画が一本出来上がるという状況でした。それが広告として一瞬で流れてしまうのは、やはりもったいない。
今後、5Gが普及し、サイネージやスマートフォンで動画を活用するニーズは間違いなく増えていきます。そう考えたとき、Kaizen Adさんに関する記事を拝見し、お問い合わせさせていただきました。
ー他社さんと比較検討されたのでしょうか。
尹:Kaizen Adの担当者の方のプレゼンテーション、その後のフォローが良かったので、他社との検討なく、導入を決定しました。
動画発注のコツは「形容詞と数字をうまく使い分けること」
ー導入してからのお話をお伺いします。Kaizen Adで初めて動画制作をされたとのことでした。
青池:当初は動画でどのようなモーションが可能なのかまったく想像できませんでした。例えば、「実際にカタログをペラペラめくるようなイメージで作成したい」とざっくり依頼したのですが、クリエイターさんから提案されたことで「こういう動きもできるんだ!」と驚いたことを覚えています。
ーKaizen Adのツールとしての使い勝手はいかがでしたか。
青池:クリエイターさんに細かく指示したい場合と、ほぼお任せしたい場合、その両方を叶えるような管理画面の作りになっていると思います。弊社の場合、こちらから素材を準備し、細かく指示を出したいケースが多く、その際に記入できるディレクション項目が沢山あるのはかなりありがたいですね。
最近ですと例えば、LPから動画を作成いただくときは「この商品がこの部分が推しなので、この箇所を優先的に動かしてください」「こうした雰囲気をイメージしているので、上品でふわっとした動きにした」といった指示をさせていただきました。
また、ツールの使いやすいポイントとしてはデータ容量の大きいものもアップロードできるは本当に快適ですね。弊社のカタログデータはけっこう重いはずなのですが、問題なくクリエイターさんに送れるので非常に助かっています。
ー発注の際に意識していることはありますか?
青池:なるべく具体的なディレクションになるようにしています。イメージを伝えるときは「上品に」「元気に」といった形容詞を使い、より細かい修正依頼をするときは「現状よりも0.5秒くらい遅くしたい」とか、「この画像は30%程度、透過する感じで」といったように言葉だけでなく、数字で伝えることもあります。
ー担当者のサポートはいかがでしたか。
青池:動画制作が初めてだったこともあり、正直不安でした。しかし、発注内容の確認をはじめ、動画発注フローに慣れるまでスタッフの方に手厚くフォローいただいたことで、問題なく依頼することができました。いまではストレスなく自分たちでクリエイターさんに動画を発注しています。
動画時代の女性下着業界で、最先端のポジションを
ー導入後、社内で変化はありましたか。
尹:徐々にチームでも浸透してきたなと思います。最近はメンバーから「次はどんな動画を制作するんですか」と聞かれるようにもなりました。また、「こんな動画もできるんだ!」と驚かれることもありますね。
導入してすぐは「動画制作の希望はありますか?」と問いかけても、チームから反応がなかったのですが、出来上がった動画の質がどんどん上がっていき、動画に対する理解が進んだことで最近は動画化の相談を受けるようになりました。この前も、カタログ担当のディレクターさんからも「この素材で縦の動画は作れますか」と聞かれました。動画の制作本数も、ますます増えてきています。
ー「静止画」から「動画」へシフトされている中で、貴社全体の方向性に変化はあるのでしょうか。
尹:ありますね。Instagramでショッピング機能がついたり、アリババでもライブコマースが始まるといった流れの中で、今後間違いなく動画のニーズは高まります。
一方、女性の下着業界はまだまだ「百貨店商売」というイメージが根強いと思っています。だから、クリエイティブもどこか「百貨店のポスター」っぽくなってしまい、ウェブの発信も「百貨店のポスターをそのままウェブに展開してる」だけの場合が多いんです。ウェブに最適なクリエイティブでブランドを発信することに、まだまだ慣れていません。アメリカだとDtoCが浸透しているので、やはり日本は遅れていますね。
そこで新しい時代に対応していくために、ピーチ・ジョンが一番動画の事例に強いという業界のポジションを確立していきたいです。私だけの力じゃもちろん難易度が高いので、引き続きお付き合いいただけますとありがたいです。
ーありがとうございました。
<取材=大木一真 文・写真=大木一真>