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2024/09/05 (木)

三井住友海上あいおい生命保険株式会社様

全国各地で業務改善の取り組みが生まれるに至ったDXワークショップの裏側

著者: Kaizen 編集部

  • 業界
    金融・保険
  • 職種
    • 経営・企画
    • IT・デジタル
  • 課題
    • DX推進・デジタル化
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    • DX
DX
「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。

三井住友海上あいおい生命保険株式会社様

世界トップ水準の保険・金融グループMS&ADインシュアランス グループにおいて、生命保険事業を牽引する三井住友海上あいおい生命保険株式会社。

同社は、中期経営計画(2022~2025年度)内のDX戦略において「デジタル人財の育成」を重要な基盤と位置付けており、その育成プログラムの策定及び実施をKaizen Platformにご相談いただきました。

そして前回の取材から2年が経ち、現在同社では育成したデジタル人財を中心に業務改善に取り組み、全国各地でDXを推進する動きが生まれています。

そこで今回はあらためてこれまでの取り組みを、デジタルイノベーション部 DI推進グループ 次長 勝並進さま、デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長 林加奈子さま、そして本プロジェクトを担当したKaizen Platform丹羽を交えて振り返りました。

 

個の業務改善ではなく、組織としての業務改善に取り組むためには、組織を巻き込む「伝え方」が重要

 

丹羽:前回の取材では、初年度のワークショップの取り組みを振り返りさせていただきましたが、あらためてこの取り組みを経て感じた課題感をご説明いただけますか?

 

勝並:デジタルを活用し、全国の組織におけるデジタル化や業務課題の解決を推進する「デジタル推進人財(デジタルアンバサダー)」を育成していく上で、当時は取り組み自体がはじめてだったこともあり、各組織とのコミュニケーションも我々DI推進グループとデジタルアンバサダーとのやり取りが中心でした。

しかし、デジタル化や業務課題の解決を進めていくためには、当然ながらデジタルアンバサダーだけでなく、その組織の所属長(部長)に、デジタル化や業務改善の必要性等を理解してもらい、組織としての取り組みにしていかなければなりません。

そこで、業務改善を進めていくうえで、デジタルアンバサダーが改善案を起案しますが、部長に正しく伝わらないことや認識齟齬が発生することなどが課題としてありました。

 

林:デジタルアンバサダーの中には、日常業務で部長と接する機会がそこまで多くはない若手社員もおり、アプローチ方法がわからないという悩みを抱えた方もいました

その結果、部長や組織を巻き込むことができず、自身で考える業務改善を実行するなど、小さくまとまってしまうこともありました。

デジタルアンバサダーに求めていたことは自身の業務改善ではなく、組織の業務改善として、組織での取り組みです

そのためには部長との連携が必要なため、次年度からは部長向けの研修を行い、会社として本気でDXに取り組んでいるというメッセージを発信していくなど、関係者の巻き込みを意識して進めました。

 

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長 林さま

三井住友海上あいおい生命保険株式会社
デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長 林さま

 

丹羽:ワークショップを経て、「人を育てる」ということだけでなく、いかに「社内へ浸透させるか」が新たなポイントでした。そうした中、DXというのはデジタル・トランスフォーメーションではありますが、 “泥臭いトランスフォーメーション” でもあって、今回もデジタルアンバサダーの方々は粘り強く着実に、手を動かしていかないと改善は進んでいきません。

そして地道にコツコツ取り組んでいるからこそ、良い取り組みをしていても定量的にどういった価値があるのかを伝えていかないと、まわりを巻き込んでいくことが難しいのがDXです。素晴らしい取り組みを素晴らしいものだと広めていくことが必要で、資料づくり含め、どうすればそれが伝わるかということをレクチャーして進めていきました。

 

勝並: Kaizen Platformにご協力いただき、伝え方や、成果の見せ方についてもレクチャーいただいたことで、デジタルアンバサダーが作成する資料が大きく変化し、また「資料作成が学びになった」といった声が多くありました。

 

林:、デジタルアンバサダーは、他の企業さまの活動を知る機会がないため、自身の取り組みが大したことではないと思っていることが多くありました。

しかし、Kaizen Platformにご協力いただき、「それは当たり前のことではなく、すごいことだ」ということを伝えて続けていただいたことは非常に意味があったと感じています。その結果、いまではお互いを認め合い、尊敬し合う風土が醸成されています。また、その取り組みを他者に伝えていく力が身についたと感じています。

 

デジタル人財育成だけでなく、実際の業務改善の取り組みが全国各地で生まれてきている

 

丹羽:これまでのワークショップを振り返り、DI推進グループと一体となって進められていることに意味があったと感じています。外部の我々が伝えるのと、社内の人たちが伝えるのでは響き方が違ってきます。

ちょっとした伝え方の違いで、受講生の方々の受け取り方が違うなど、自分ごと化しづらいケースというのは往々にして起こるわけです。

そうした中、どういったことを我々が伝えるべきか、DI推進グループから伝えるべきかなど、役割分担を意識して進められ、外部の会社ではなく、ワンチームの仲間として接していただけたと感じています。

 

勝並:もともと須藤さん(Kaizen Platform代表)の書籍を拝読させていただき、Kaizen Platformに対する信頼のもとご依頼しています。そして取り組みを重ねていくごとに、お互いを理解することができました。たとえば提供いただくカリキュラムがフィットしていないと感じればお伝えしますし、Kaizen Platformからも当社の状況を理解いただいたうえで、「こうしたほうがいい」といったご提案をいただけていますが、そうした関係性が大事だなと。

デジタルアンバサダーに対してもチームの重要性を伝えていて、個人ではなく、チームとしてどう取り組むかを発信し続けたからこそ、一体感が生まれていったと感じています。

 

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 デジタルイノベーション部 DI推進グループ 次長 勝並さま

三井住友海上あいおい生命保険株式会社
デジタルイノベーション部 DI推進グループ 次長 勝並さま

 

丹羽:受講生の方々には取り組みの最後に成果の発表をしていますが、年々発表会の質が上がっており、私の期待以上のものが出てきていることはとても驚きでしたし、私自身達成感を感じることができました。

また、毎年参加されている方もいるため、成長が蓄積されており、エース級の人財も生まれてきています。そして御社の社員はみなさんやり抜く力をお持ちで、器用に何かをするというのではなく、地道で献身的にコツコツ動ける方々。そうした動きからまわりへも良い影響が生まれていて、あらためて着実にデジタル人財が生まれてきていると実感しています。

 

勝並:実際に業務改善の実例も生まれてきています。たとえば非効率的な作業を見つけ、その作業を自動化する取り組みがあったのですが、結果的に年間で120時間分の工数を削減し、担当者が本来注力すべき業務にリソースを割けるようになったケースもありました。

他にもデジタルアンバサダーが、所属組織に働きかけ、Office365ツールの有効活用を推進していき、日々の業務効率を大幅に改善するなど、日常業務に変化が生まれてきています。

いままではそうした現場主導で改善に取り組むことはあまりありませんでした。しかしいまでは、デジタルアンバサダー自らが現場で本当に困っていることを解決しようと取り組んでおり、どのように解決すべきかの相談は受けるものの、実際の解決策は自分たちで考えて実行するという動きが全国各地で少しずつ生まれてきています

 

林:毎年参加しているデジタルアンバサダーは、経験者の視点からグループワークを牽引する存在となり、DXの取り組み自体にポジティブに向き合っています。

そして、組織内コミュニケーションの取り方などを積極的に発信するなど、他者を牽引していく動きも生まれました

また、組織同士で協力して課題解決をする取り組みも生まれてきています。デジタル人財同士の交流が生まれ、こちらの期待以上の動きが出てきており、とても嬉しく思っています。

 

DXの取り組みが社内表彰に選出。現場主導で業務改善に取り組むというマインドの変化

 

丹羽:今回のDXの取り組みが社内表彰されたそうですが、表彰によって何か社内からの反響はありましたか?

 

勝並:表彰されたことで「あの取り組みはどうやっているのか」といった質問をうけるなど、社内からも注目されるようになってきています。

以前までは、良い営業成績をあげた取り組みや、インパクトのある仕組みを構築したプロジェクトなどが対象になりがちでしたが、業務改善の取り組みが表彰されるようになったこと自体、会社の組織風土の変化を感じる部分です。

そのため、デジタルアンバサダーらのモチベーションは高まりましたし、実際に受賞した社員は表彰の場で社長と話す機会があったことが励みになり、自信にも繋がっています。


丹羽:その他、これまでの取り組みを振り返って、どのような成果が得られていると感じていますか?

 

Kaizen Platform 丹羽

Kaizen Platform 丹羽

 

勝並:「デジタルを使って何かを変えられる」というマインドになってきていること自体が大きな成果です。そして本社主導ではなく、現場が中心となって業務改善に取り組める人財が各地で育っています。

また、デジタルアンバサダーと一緒に仕事をしてきた社員が別の組織に異動し、異動先でも主体的に業務改善に取り組むなど、着実にデジタル人財が増えています

 

林:担当者は目の前の業務だけに視点が行きがちです。そのため、以前までは何か課題を感じていても、自身の業務以外のことは本社が対応することを待つような雰囲気もありました。

しかし、自身が主体的に改善していくマインドが醸成されています。

Kaizen Platformとの取り組みが会社組織の風土を変えていく下支えになっており、現場が課題を自分ごと化して、組織を巻き込んで進めているため、そうした人財がより増えていくことで、当社の風土が一気に変わっていくのだろうと感じています。

 

Kaizen Platformが「一緒に改善していこう」というマインドでリードしてくれたからこそ、DXの推進が実現できている

 

丹羽:こうしたワークショップでレクチャーだけでなく、実際に業務改善に取り組み、何かしらの成果を出すというのは非常にハードルが高いことです。そのため、当初は参加者の半数が最後までやり抜き、1つや2つほど成果が出れば十分だろうという期待値でいました。

そして、ワークショップの途中でフェードアウトしてしまう人も出るだろうとも思っていましたが、実際にはみなさん最後までワークショップをやり抜いていて、むしろそれが当たり前だという高いモチベーションであったことが驚きでした。

また、成果が出なかった取り組みにおいても、「うまくいかなかった」で終わるのではなく、「こういった結果だったから、次はこうする」といった形で前向きに次に繋げていこうという動きもありましたね。そうしたデジタル人財が確実に増えているため、今後より大きく社内の風土を変えていくことができるだろうと期待しています。

 

林:おっしゃる通り、うまくいかなかった取り組みがありつつも、積極的にトライして、そこから次はこうしていくといったPDCAを回せていることが良いこと。

ワークショップは1年間のため、1年で成果を出そうと思うと小さくまとまりがちです。しかし、長期的な視野を持って本質的なDXに取り組む人財が増え、良い影響が生まれていると感じています。

 

勝並:そうした動きも、Kaizen Platformのご協力がなければ、生まれていなかったことだと思います。まずはトライしてみることに意味があるわけですが、我々が伝えても、そこまで響いていなかったでしょう。

しかし、知見があるKaizen Platformが「一緒に改善していこう」というマインドでリードしていただけたからこそ、前に進められているのだと思っています。

 

マインドでリードしていただけたからこそ、前に進められている

 

丹羽:ポジティブな変化がたくさん生まれてきていて、今後またどのように御社のDXが実現していくのか非常に楽しみです。あらためて、これまでを振り返っての感想と今後の展望をお聞かせください。

 

勝並:新しい取り組みというのは、成果が出ていないからという理由で中断されてしまいがちです。しかし、Kaizen Platformとの取り組みは、長く続けてこないと成果が見えづらかったりもします。

ワークショップをはじめて3年が経ちましたが、ミーティングを繰り返し、長く続けてきたからこそ、良い結果が生まれてきました

一方でまだまだDXの取り組み自体は道半ばで、理想はワークショップがなくても、現場が主体的に改善に取り組んでいくことです。そのためにも、引き続きデジタル人財の育成を支援いただければと思っております。

 

林:いまはデジタル人財を創出している段階で、今後は彼らの成長度合いや状況に応じて、ワークショップの内容を見直し、この取り組み自体も改善する必要があると感じています。そうした中、Kaizen Platformは私たちの意見をただ受け入れるのではなく、どうすればより良くなるかを常に考え、ご提案いただけていることに感謝しています。

そして、デジタル人財が増えると、さらに良い方向に変化すると信じていますので、引き続き支援いただきたくお願いします

 

丹羽:これまで御社と取り組みをさせていただき感じたのは、会社に言われたからやるのではなく、主体的になって「自分がこの改善を進めていくのだ」というマインドで取り組まれている方が多いということ。

そういったモチベーションの方々と一緒に仕事ができること自体、私は人生の中で貴重な経験をさせていただいていると感じていますし、そうした方々とより大きな成果に繋げていけるよう、引き続き尽力させていただきたいと思っています。本日はありがとうございました!

 

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