今回は「日経 xTECH(クロステック)」や「日経クロストレンド」を始めとしたメディアの主に広告やマーケティング支援を行っている株式会社日経BPアド・パートナーズの松村和典氏にお話をうかがいました。以前まで販促キャンペーンでも動画を活用したことがなかったという同社が、どのようにKaizen Adを活用しているのか。そして、その広告効果や担当者からの声はどのようなものだったのでしょうか。
株式会社日経BPアド・パートナーズ=松村和典氏
メディアリニューアルに合わせて始まったキャンペーン動画施策
──日経BPアド・パートナーズさんのお仕事について教えてください。
松村和典氏(以下、松村) 日経BPのグループ会社として、雑誌やウェブメディアの広告を扱っています。社内のポジションとしては、デジタルマーケティング全般のコンサルティングです。広告配信のプランニングやディレクションといった販促のサポートを行いながら、日経BPが運営する「BPDMP」の活用提案なども事業領域としています。
──お取り組みのきっかけを教えてください。
松村 2018年のはじめに日経BPが運営するデジタルメディアが大きくリニューアルしたことが依頼のきっかけになっています。
まず2018年2月に「日経 xTECH(クロステック)」がオープンしました。建設関連の「日経アーキテクチュア・ウェブ」やIT系の情報サイト「ITpro」など複数のデジタルメディアを統合、リニューアルする形での創刊でした。
そしてマーケティングやイノベーションの情報をお届けするデジタルメディアとして、「日経クロストレンド」が4月に創刊。こうしたメディアリニューアルに合わせて、大々的にブランドへの「認知」を獲得するため、今まで取り組んだことのない新しい販促キャンペーンを展開することになりました。そこで私が着目したのが「動画」です。それまで実は動画キャンペーンを行ったことがなく、知見もまだ社内にはない状態でした。
──動画制作は今回が初めてだったのですね。
松村 バナーや静止画のクリエイティブ制作はこれまでにも事例はありましたが、動画は初めてでしたね。社内に制作リソースも知見もなかったので、外部に委託することになりました。
──Kaizen Adはどのようにお知りになったのでしょうか。
松村 知り合いの方経由でKaizen Adをご紹介いただき、ご提案いただくことになりました。ご提案いただいた当初は動画制作の相場観がよく分からなかったのですが、他社と比較検討するうちに「こんなに安くて動きが早い制作サービスは他にない」と感じ、そのままKaizen Adで制作をお願いすることになりました。
──具体的にはどのようなキャンペーンだったのでしょうか。
松村 メディアの認知度を上げる施策としてと、2ヶ月の購読無料キャンペーンを行いました。そこで駅のデジタルサイネージやトレインビジョン、SNS広告でキャンペーン動画を配信しました。SNSの割合としては、Facebookで7割、Twitterで3割ほどです。日経BPのコンテンツは主にビジネスパーソン向きであり、Facebookでも記事コンテンツを公開しているので、Facebookよりの施策となりました。
「認知」の獲得だけでなく、クリック率の改善も
──制作した動画について教えてください。
松村 まず1, 2分ほどの動画が先にあったので、それを広告媒体に合わせて再編集することになりました。SNS向けの動画では15〜30秒ほどの尺で、ターゲットの目に留まり、かつ親指が止まるようなエフェクトをいれるように依頼させていただきました。
▼ Before
▼ After
──動画制作のディレクションはどのような体制で行われたのでしょうか。
松村 基本的に私一人で取りまとめています。「こんなイメージで制作してほしい」と動画イメージのラフを、テキストやパワーポイントを使いながらお送りしているのですが、それに対してクリエイターさんからは、自分が想像していたよりもすごくよいかたちで毎回納品されていますね。少しずつ社内でもそれが知見となり、「過去このようなパターンでこれだけ効果があったので、今回はこのような方向性で制作したい」と動画内容を少しずつブラッシュアップさせています。
──クリエイターさんとのやり取りで苦労されたことはありましたか。
松村 特にないです。クリエイターの方も慣れているのか、こちらの意図を汲み取って制作を進めてくださっています。デザイナーの方のセンスがよいのでしょうか、毎回イメージしていたものか、それ以上のものが出てきます。
──社内での反応はいかがでしたか。
松村 2パターンほど制作を依頼したのですが、日経BPの担当者からもかなり反応はよかったです。動画の中にさまざまなアクションを入れたり、人気のある特集名を入れたりと、いろいろな工夫をしていただけました。キャンペーン期間まで短い時間ではありましたが、短納期かつ低単価で「このクオリティの動画がこの価格で、この期間でできる」というのは衝撃的でしたね。この点に関しても、日経BP全体で高評価でした。
──動画広告の広告効果はいかがでしたか。
松村 クリック率はやはり動画のほうが高かったですね。クリック率が大きく改善し、そこからの申し込み数も増えました。静止画と比べても、動画クリエイティブのほうが広告効果が高かったです。「創刊」というワードがキャッチーだったこともあり、それが動画クリエイティブのほうがより強く訴求できたと思っています。
「認知」の獲得がキャンペーンの目的でしたが、「いかにサイトに訪れていただくか」についても重要視していました。そうした意味でも、キャンペーンの目的をクリアできました。
根強かった「静止画のほうがよい」という社内の声
──創刊キャンペーン後、社内ではどのような変化があったのでしょうか。
松村 動画制作の経験はなかったのですが、今では毎月1, 2本の動画は制作するようになっています。それまでは「静止画のほうがよい」という意見も根強かったのですが、創刊の動画キャンペーンをきっかけに、少しずつ動画に対して「慣れ」が出始めていると感じていますね。社内でも「今は動画を活用してこのようなキャンペーンを展開しています」と積極的に紹介したり、動画の最新事例の勉強会を開催しています。
最近ではキャンペーンがある時には動画を積極的に活用していきたいという声が日経BPから聞かれるようになりました。そうした声を受けて、弊社がキャンペーン企画を提案し、合わせて動画施策をプランニングするという流れになっています。今後はタイアップ案件での動画施策の展開も考えています。
──動画に対して、どのようにイメージが変わったのでしょうか。
松村 私自身もでしたが、動画制作には「高い」というイメージが根強くありました。そのため、安く作れる「静止画」のほうがよいという意見が多かったんです。しかし、静止画クリエイティブとほぼ変わらない予算感で動画が制作できるので、気軽に動画を試すことができると社内の空気も変わりつつあります。また、競合のメディアで動画キャンペーンを上手く活用した事例を見かけることが多くなったことも、その後押しとなっています。
クラウド上で蓄積されていくノウハウと動画クオリティ
──今後、動画に関してどのようにお取り組みを進めていきたいと考えていますか。
松村 さまざまな動画キャンペーンを手掛けるなかで、クリエイティブの検証を進めることができました。たとえば最近では、縦型の動画はスマホでの反応がかなり良いという知見があったことで、縦型動画のチャレンジも進んでいます。
またクイズやカレンダー形式の動画など、コンテンツ内容に対してのクオリティアップにも取り組んでいます。継続的に制作をお願いしているからこそ、弊社内でもクリエイターさんでもノウハウがどんどん溜まっていくと思っているので、さらに「質の高い動画」が制作できるような関係構築を今後も続けていきたいですね。
──最後にKaizen Adへのメッセージがあればお願いいたします。
松村 重ねてになりますが、Kaizen Adを活用してよかったと感じる点は「短期間納品」と「手ごろな価格」、そして「クリエイティブの質が高い」この3つです。今後もこの3つのバランスを継続していただければありがたいです。
リスティング広告が生まれた頃、さまざまな広告代理店が増えました。その現象と同じく、今後1, 2年で動画のクリエイティブエージェンシーは増えてくると思います。2020年の5Gの導入も追い風となり、動画シフトはますます進みます。
しかし、新興のクリエイティブエージェンシーが動画制作を今から手掛けようとしても、動画のクオリティはいきなりは良くならないでしょう。その点、Kaizen Adには知見やノウハウ、そして経験豊富なクリエイターさんとクラウドで連携できることで、その他のクリエイティブエージェンシーとは「差別化」できていると思っています。そしてKaizen Adを利用するクライアントさんが増え、今後ますますノウハウや経験が蓄積されれば、弊社に納品していただく動画のクオリティや広告効果も比例して上がっていくと思っています。
──ありがとうございました。
<取材・文・写真= 大木一真>