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2022/11/22 (火)

三井住友海上あいおい生命保険株式会社様

学びから実践までの一気通貫プログラムで、デジタル人財を育成

著者: Kaizen 編集部

  • 業界
    金融・保険
  • 職種
    • IT・デジタル
    • 経営・企画
  • 課題
    • DX推進・デジタル化
  • サービス
    • DX
DX
「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。

世界トップ水準の保険・金融グループMS&ADインシュアランス グループにおいて、生命保険事業を牽引する三井住友海上あいおい生命保険株式会社。

同社は、中期経営計画(2022~2025年度)内のDX戦略において「デジタル人財の育成」を重要な基盤と位置付けており、その育成プログラムの策定及び実施をKaizen Platformにご相談いただきました。

そこで今回は、Kaizen Platformへご相談いただいた背景や、どのようにプロジェクトを進めていったのかについて、デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長 勝並進様、デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長代理 林加奈子様にお話を伺いました。

三井住友海上あいおい生命保険株式会社

デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長 勝並進氏

 

三井住友海上あいおい生命保険株式会社

デジタルイノベーション部 DI推進グループ 課長代理 林加奈子氏

中計でも重要なテーマとして掲げられた「デジタル人財の育成」のミッションを担った部署の創設

―デジタルイノベーション部は2021年10月に創設されたとのことですが、その背景を教えてください。

勝並:昨年、会社として2022~2025年度の中期経営計画の策定を進めており、その中でDX推進が重要なテーマとして掲げられました。

しかし、DXを推進するにしてもそれを担当する部署は当時ありませんでした。そこで、私と林がいた営業教育部門と、新規事業を担当している成長戦略部門を統合し、DX推進を担う新しい部署としてデジタルイノベーション部が創設されました。

その後、DX戦略の策定に取り掛かったのですが、統合することで人的リソースも集中できますし、決裁のスピードも上がるので、急ピッチでの進行が可能となりました。

三井住友海上あいおい生命保険株式会社 デジタルイノベーション部 DI推進G 課長 勝並進氏

 

ーDX戦略はどのように立てていきましたか?

林:DX戦略の策定に向けて議論する中で、「今までやってきたような、単にツールを導入してデジタル化を推進するのではDXではない、本質的にDXを実現するためには人が大切」という結論に至りました。これは最終的に中期経営計画(2022~2025年度)でも、DXを支える基盤としてデジタル人財の育成を掲げている通りで、会社としてもこの人財育成を特に重要なテーマとして設定しております。

そこで人事部門と連携を取りながら、「そもそもDX推進を担うようなデジタル人財とは何か?」を整理し、会社にとってのデジタル人財の定義を固めていきました。

もしかしたらDXを担う部門のみで定義を考えた方が良い、という意見もあるかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、本質的にDXを実現するためには人が大切で、人と関わる組織もまた大切です。

たとえDX人財が育っても、その能力を活用できるよう組織が機能していなければ、意味がありません。だからこそ、私たちの部で完結せず、他部署を巻き込みながら議論を進めていきました。

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三井住友海上あいおい生命保険株式会社 デジタルイノベーション部 DI推進G 課長代理 林加奈子氏

 

勝並:そこでできたのが、スキルや経験に応じて3つのレイヤーに分けた育成体系です。

三角形の上から順に、全社的なビジネス課題の解決や新たな顧客体験の創出を担う「デジタル専門人財」。デジタルを活用し組織のデジタル化や業務課題の解決を推進する「デジタル推進人財(デジタルアンバサダー)」。そして、デジタルを活用し効率化に取り組む「デジタル活用人財(デジタルベーシック)」です。

最も高度な領域であるデジタル専門人財においては、データを駆使して意思決定のサポートやビジネス課題解決を担う「データ分析人財(データサイエンティスト/データアナリスト)」と、デジタルを駆使してビジネスの変革やお客さまの体験価値向上を担う「デジタルビジネス人財(デジタルイノベーター)」に分けています。

デジタル人材の育成体系の資料。DX推進に向け、デジタル領域の人材育成を体系化、社員のスキル・経験に応じて育成

林:もちろん育成体系を整理しただけでは意味がありません。それに沿っていかにデジタル人財を育成していくかが重要なわけで、それをどのようにするべきか、教育研修についての検討も進めました。

 

勝並:この教育研修をどのようにするべきか。という点が最も難しいポイントでもありました。

私たちのようなDXをやってない人間がレクチャーしても説得力がありませんし、研修を運営する傍らプログラムのファシリテーションの準備をするというのはリソース的にも難しくなります。

なので、それを社内でどうにかしようという議論をするのではなく、スピーディーに進めることを重視し、初めからプロの力を借りることとしました。

そこで行ったのが、フィールドワークです。グループ会社だけでなく、業界が異なる企業様にも、デジタル人財の育成にどう取り組んでいるのかをヒアリングしました。

その中で、業界は違えど、DX人財の育成を進めるに当たっての悩みや課題は共通するものがあるなと気づきました。

 

林:Kaizen Platformを知ったのは、ヒアリングした会社の中にKaizen Platformのワークショップを経験した方がいらっしゃったからです。かなり詳細にワークショップの内容を聞き、Kaizen Platformに依頼したら、自分たちの理想とする教育研修が実現できるのではないかと感じました。

 

勝並:さらに、須藤さん(Kaizen Platform代表)の書籍も拝読させていただいたところ、「DXとは単にデジタル化することではない」「DX推進においては、人が大切」など、まさに私たちの考えていたDXと一緒でした。

「このDXの考え方がベースとなるプログラムを実装できたら、私たちが目指すデジタル人財が育つはずだ」と確信しました。


林:最終的には、自分たちのデジタル人財育成プランが実現できる会社であることと、パートナーとして同じ思いを持って取り組んでくれるということで、Kaizen Platformにお願いすることにしました。

 

会社全体を俯瞰して必要なことを考える。学びから実践まで、一気通貫のプログラム

ーワークショップの内容は、どのように決めていったのですか?

林:ワークショップの内容を決めるにあたって、なぜ我々が人財育成を重視しているのかや、どのような人財を育成したいのかなどをお伝えし、それらを踏まえて弊社の体系に合ったプログラムをご提案して欲しいとお願いしました。

何度も議論を重ね、既存のプログラムを大幅にカスタマイズしていただきました。

 

勝並:相当無茶振りもしましたが、全てに応えて下さったので、ワークショップが始まる前からKaizen Platformに依頼してよかったと安心感がありましたね。

 

林:最終的に、年間を通したご提案をいただいたのですが、上期では、デジタルイノベーターは全社DXプランの立案を行う5daysワークショップ、デジタルアンバサダーは業務プロセスDXプランの立案を行う3daysワークショップ、デジタルベーシックはDXに関する講演・動画学習を実施することにしました。

そして下期は、上期で出たDXのアイデアをプロジェクト化し、実践をサポートいただくという内容です。

年間プログラムにおけるポイントは、まずインプット(座学)とアウトプット(実践)の両方を組み込んだ内容であること。そして、デジタルイノベーター・デジタルアンバサダー・デジタルベーシック、3つの区分それぞれのプログラムが更なるシナジーを生むような、全体を俯瞰した内容であることでした。

 

勝並:私たちの要望を取り入れてくれただけでなく、数々の企業のDX研修をされてきたKaizen Platformならではの、将来的な効果も見据えたご提案だったので感動しました。

上期のワークショップ実施前に、関連部署の部長に対して「なぜDXなのか、誰がやるべきなのか、どのレベルでやるのか」を理解いただくために代表の須藤さんに講演会も行っていただいたのもありがたかったですね。

ワークショップ参加者は、通常業務の傍ら課題に取り組むので、上長の理解を得ることがすごく重要です。最初に須藤さんにDX推進の意義をお話しいただいたことで、スムーズに進めることができました。

勝並氏と林氏

 

ー参加者の選定もすごく重要なポイントです。どのように参加者を決めましたか?

林:参加者については、指名制と公募制の両方を取り入れました。

デジタルアンバサダーは、各部の部長に「自分の部のDX業務を推進していくパートナーを推薦してください」とお願いし、選出していただきました。

須藤さんの講演会のおかげで、選出する際の基準が明確になったので、スムーズに進めることができました。

デジタルイノベーターは完全公募制で、役職や年齢は関係なく、やる気のある方に来ていただくようにしました。

 

勝並:公募の定員は30名だったのですが、最終的に60名くらいから応募がありました。

定員に満たなかったら、自分たちで個別に声かけしようと思っていたので、嬉しい誤算でした。

 

林:社員区分も制限しなかったので、企画系の方だけでなく、事務の方や営業職員の方などからの応募もありました。

 

勝並:新しいことが好きな方や、デジタルに興味がある方、人財育成のために来ているなど、応募理由も様々でした。年齢も幅広く、50代後半の営業職員の方もいらっしゃいました。多様性を感じましたね。

 

ーワークショップでは、どのようなことを行いましたか?

勝並:ワークショップでは、自社のビジネスや業務について改めて考える内容が多く盛り込まれていましたよね。

例えばデジタルイノベーターの5daysでは、各々が自分の担当業務について業務ジャーニーを作成し、チーム間で発表するワークがありました。それを通じて自分の業務を俯瞰し、全体像を捉える体験や、経験したことのない業務について知ることができました。

 

林:その過程で、メンバー間のコミュニケーションが生まれたのもよかったです。また、他部署がどのような仕事をしているのか知らない人も多かったので、新たな気づきになったようです。

 

勝並:カスタマージャーニーも作りましたよね。自分たちのサービスがどのような流れを経てお客様の元に届くのか、意外と考える機会がなかったので新鮮でした。

このように会社全体の業務やサービスの流れを俯瞰して見ると、解決すべき課題が明確になります。自分の業務の範囲内で見つけた課題をいくら解決しても、根本的な解決にはならないので、異なるバックグラウンドを持つメンバーそれぞれの視点を踏まえ、俯瞰して見るというのはすごく大事だなと実感しました。

 

ー受講者の方からは、どのような反響がありましたか?

勝並:正直、受講後の満足度が皆一様に高いというわけではありませんでした。

デジタルイノベーターのメンバーからは、「ワクワクできました」「デジタルってかっこいいと思われがちですが、ワークショップを通して、地道にやらなきゃならないものだと感じました」というポジティブな感想が多かった一方で、デジタルアンバサダーのメンバーはモヤモヤした状態が続いている方が多かったです。

 

林:ワークショップでは、従来の研修のように座学でデジタル技術について学ぶと思っていた方が多かったんですね。でも実際は、“正解がないこと”を考えるアウトプットが主だったので、モヤモヤしてしまったのではないかなと。

 

勝並:この点については、期待値調整をしっかりすればよかったなと思っています。

 

学んで終わりでは意味がない。DXを実践するとことまでフォローアップし続ける仕組みづくり

ー最後に、今回の取り組みを振り返った感想と、今後の展望を教えてください。

林:Kaizen Platformからは、ワークショップが終わるごとに、「今日のワークショップでこういうことがわかったので、次回はこう調整します」など、毎回チューニングしていただきました。参加メンバーの特性や状況に応じて、柔軟に内容を調整していただけたのは、すごくよかったです。

 

勝並:本当に細やかにサポートいただきましたよね。デジタルアンバサダーのメンバーのワークショップのプログラムの一環として、DXプラン発表日であるワークショップの最終日の前に、これまでのワークで作成してきたDXプランについてKaizen Platform側がレビューをする「フォローアップMTG」もありました。

1チーム15分程お時間いただき、みっちりアドバイスいただいたおかげで、メンバーは自信を持ってDXプランの発表に臨むことができたと思います。ここまで寄り添っていただけるのかと驚きました。

 

林:ワークショップを通じて立案したDXプランを役員や部長にプレゼンする際は、事前にKaizen Platformからワークショップの取り組みを説明する資料を提供いただくなど調整いただきました。

役員や部長は、その資料の内容を念頭にプレゼンを聞いてくださったので、発表内容をより深く理解していただくことができました。

当初の期待通り、私たちが実現したいことに対して、同じ目線で取り組んでいただいているなと感じました。

綿貫氏と勝並氏と林氏

写真左はワークショップを担当した株式会社Kaizen Platform 綿貫美紀

 

勝並:上期の反省点としては、先程の繰り返しになりますが、事前に期待値を調整できなかったことです。今後は事前準備を念入りに行い、受講前後のギャップを減らそうと考えています。

 

林:今後の展望としては、今回の参加者が受講後も継続してDXに取り組めるよう、コミュニティも運用していきたいと考えています。

実は、コミュニティの仕組みだけは4月の時点で作っていたんです。DXを推進していく上で横のつながりが大切だと思っていたので、部署を超えて自然とコラボレーションできるような場所が必要だよね、と。

まずは今回の参加者にコミュニティに入っていただき、ゆくゆくは会社全体のコミュニティとして作り上げていきたいです。

 

勝並:引き続きKaizen Platformに伴走していただきながら、自分たちが目指すデジタル人財の育成を推進していけたらと思っています。

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