1954年の創業以来、信販業界の先駆けとして、お客様のライフスタイルや決済ニーズに合わせたサービスを幅広く提供してきた株式会社オリエントコーポレーション(以下、オリコ)。
昨今では、先端技術を活用するスタートアップ企業等との協業や、海外事業の拡大など、新たなビジネス領域の拡大にも取り組んでいます。
さまざまなイノベーションによる強固な収益体質の再構築と新たなビジネスモデルの創出によって、社会に対し新たな価値を提供し続ける「新時代のオリコ」を目指す同社。Kaizen Platformとの取り組みを通し、会員サイトのUI・UX改善施策にどのように向き合ったのか探っていきます。
株式会社オリエントコーポレーション カード・ペイメントグループカードプロダクト開発部 部長代理 島 泰代氏
株式会社オリエントコーポレーション カード・ペイメントグループ カードマーケティング部 課長代理 鹿田 絢子氏
会員サイトのUI・UX改善を目指し、Kaizen Platformと取り組みをスタート
――そもそも、Kaizen Platformの導入を決めた背景は何だったのでしょうか?
島 弊社では、郵送による「ご利用代金明細書」の有料化開始にあたり、Web明細(郵送停止サービス)を積極的に推進する取り組みを行っており、会員サイトのUI改善(※)が急務となっていました。
しかしながら、システム改修は容易ではなく、会員登録も会員サイトが「eオリコサービス」と「オリコポイントゲートウェイ」の2つに分かれていることから、会員様にとって非常に分かりづらいものとなっていました。
また、ユーザーの8割がスマホを使用しているにも関わらず、スマホ最適化に対応できておらず、会員サイトは「見づらい、使いづらい」状況でした。有料化を目前に、スピード感をもって対応する必要があり、Kaizen Platformさんのお力を借りし、会員サイトのログイン改善、Web明細登録向上に取り組みました。
(※)...PCやスマホなど、画面サイズに応じて最適に表示されるよう設計されたデザインのこと
――なるほど。その後、Kaizen Platformとはどのように取り組みを進めていきましたか。
島 まずは、何度かミーティングを重ね、問題点を共有し、社内の方針を鑑みたうえで、注力すべき課題を明確にしていきました。
お取り組み初回となる第1期では、会員登録率向上と会員サイトのログイン率を上げることを目標に、UI・UX改善から始めていきましたね。
「eオリコサービス」に関しては「ログイン画面」と「画像認証画面」が非常に見づらかったので、デザイン・レイアウト変更を行なっていただきました。
▲スマホでの文字量を考慮できておらず、赤文字などを多用し、全体的に文言が多く見づらいページになっていた
「オリコポイントゲートウェイ」に関しては、A/Bテストを実施し、「新規登録画面」と「ログイン画面」の導線をわかりやすくするための施策を2回にわけて実行していただきました。
▲1回目のテストでは新規登録画面とログイン画面をタブ切り替えに変更。2回目のテストではタブ切り替えを廃止し、並び順を入れ替えるといった施策を実施した
この結果、会員サイトのUI・UX改善によってコンバージョンを増やす事ができるという事がわかったりました。
第1期の取り組み成果から、第2期では、弊社の事業課題でもあった収益改善を図るため「あとリボ」「キャッシング」メニューを中心にコンバージョン率の改善を目指しました。
▲「あとリボ」では申し込み画面およびマイページTOPのUI改善等を行なった(「あとリボ」「キャッシングメニュー」は現在も数施策実施中。第2期までで計19施策を実施しているが、ほとんどの施策で結果が出ており高いROIを実現できている)
結果、第1期で取り組んでいた「eオリコサービス」の初回ログイン率は101.5%にまで改善されました。第2期で取り組んでいた「あとリボ」への申込み導線強化施策に関しても、120.2%まで改善するなど大きな成果がありました。全体的に満足しているので、今後も活動を広げていきたいですね。
手厚いフォローで大きな成果を実感。社内提案もスムーズに進んだ
――Kaizen Platformとプロジェクトを進めていくなかで、よかった点を教えていただきたいです。
島 Kaizen Platform導入前と導入後の効果の比較を、数字をもとにわかりやすくレポート形式でまとめてくださったことです。またKaizenツールから、すぐに数字を把握することができ、グラフ化されているので現状把握が容易にできたのでとても良かったです。一緒にお取り組みすることで、私自身、多くの知見を得ることが出来ましたし、非常に勉強になりました。
また、数字の伸びを見ただけではわからない部分を、ユーザー目線でしっかりフォローいただけたのがよかったです。
――具体的には、どのようなフォローがあったのでしょうか?
たとえば、会員ページのボタンの配置に関して、「Aの位置またはBの位置、どちらにあったらよかったのか」と伺いました。
そのとき、A/Bテストの結果だけを見てジャッジするのではなく、Kaizen Platformの社内でのユーザビリティ向上の知見を持ったプロからのご意見をいただけるなど、多角的にプラスαのご提案をいただけたのが嬉しかったですね。
鹿田 Kaizen Platformとは週次で定例会を行なっているのですが、そのおかげもあってこまめに疑問点を聞けました。社内で成果報告をする際に必要な数字や考え方などが明確にわかり、学びが多かったです。
――逆に、大変だった点はありますか。
島 ないですね。どの取り組みも成果が出たので、もはや数字が上がるのが普通なのかと思ってしまうほどでした(笑)。
なかなか成果が上がらなかったとしても、代替案を提案してくださるスピード感がとにかく早くて。PDCAを回し、成果にこだわって対応頂いたので、とても信頼感がありましたね。
お客様とのタッチポイントを活かせるよう、スピーディにサービス全体の改修を進めていきたい
――今後Kaizen Platformと取り組みたいことを教えてください。
島 現状、会員サイトに月1回ログインし、Web明細を見てくださっている初回ログインユーザーは増えています。ですが、継続してずっと使っていただけていないという課題があります。
理由は、お客様とのタッチポイント(※)をうまく活かしきれていないからです。現状、会員サイトのすべてのページが使いやすくなっているわけではないので、お客様を離反させないような取り組みをしていきたいですね。
具体的には、現在取り組んでいる「あとリボ」や「キャッシング」といった収益メニューのコンバージョンをしっかり取りながら、ユーザー目線に立って、サービス全体の改修も進めていきたいです。
Kaizen Platformとなら、今後もスピード感を持って取り組めると思うので、期待しています。
(※)...企業と顧客を結ぶ接点
<取材・執筆:高橋まりな(ふつかよいのタカハッピー)/撮影:高澤梨緒/編集:Kaizen 編集部>