2017年に創業し、販売する物流ロボットはトヨタ、アスクルなどの大手企業にも導入されるなど、物流×テック領域で国内最大手の地位を確立する株式会社ギークプラス。
順調に業績を伸ばしていく一方で、同社では案件獲得がリファラル経由に依存しており、さらなる成長を実現するためにはマーケティング組織をいかに垂直立ち上げするかが課題としてありました。
そこで、このたびKaizen Platformではギークプラスのマーケティング組織の立ち上げを支援。今後同社がBtoBマーケティングを進めていく上で必要となるペルソナや購買プロセスの整理等の戦略策定から、実際の施策実行までを一気通貫で行い、行った手紙施策ではアポ獲得率31.25%といった成果を達成することができました。
今回は本プロジェクトを担当されたギークプラス 経営管理部 部長 マーケティングG GMの夏氏、そしてKaizen Platformにて執行役員を務める多田が、今回の取り組みに至った背景から実際の結果に至るまでを振り返りました。
マーケ組織の垂直立ち上げプロジェクト。変化を楽しめるかどうかが依頼先選定のポイントだった
多田:夏さんはもともとKaizen Platformにも在籍されていて一緒に仕事をしたこともあったので、またこうしてプロジェクトをご一緒できてとても嬉しく思います。あらためて、今回Kaizen Platformにお声がけいただいた背景を教えていただけますか?
夏:私がギークプラスにジョインする経緯にも繋がるのですが、私がギークプラスにジョインする前、事業責任者を務めている小池から「金の卵の事業があるから、手伝ってほしい」と電話をもらって。
それまでギークプラスはリファラルでの案件獲得が中心で、すでに事業は好調ではあったものの、より事業成長を加速させていくためにはマーケティングが必要だと。当時ギークプラスはマーケティング部門がなかったため、そこでギークプラスにジョインして、マーケティング部門の立ち上げをやってほしいと小池から相談を受けました。
ただ話を聞いていると、何ヶ月もかけて、しっかりとマーケティング部門をつくっていくといった話ではなく、スタートアップだからこそ、垂直立ち上げしてすぐにマーケティングを実行していくといったことが求められるスピード感でした。
さらに小池はもともと前職でBtoBマーケティングをやり切ったような人物なので、彼が理想とするBtoBマーケ組織を垂直立ち上げするには、私ひとりのリソースだけでは難しいだろうと思い、実は小池との飲み会の当日にすぐ多田さんに連絡しました。
多田さんにも「金の卵の事業があるから……」と私が小池から受けた通りの説明をそのままして(笑)。多田さんも「おもしろそうですね」と言っていただけて、そこからすぐに動いていきましたね。
ギークプラス 経営管理部 部長 マーケティングG GM 夏 氏
多田:Kaizen Platform以外にもいろいろと相談先の選択肢はあったと思うのですが、なぜ私たちにご相談いただけたのでしょうか?
夏:こうした立ち上げプロジェクトというのは、いろいろな変化が起こりますよね。そうした変化に耐えられるかどうか、変化自体を楽しめるかどうかが重要で、変化を楽しめないとチーム全体がネガティブな雰囲気になってしまいかねません。
また、想定外のことの連続して起こり得る中、プロジェクトを自分ゴトと捉え、モチベーション高く、最後までやり抜けるかどうかも求められると考えていました。
それで誰がいるかと思って最初に思い出したのが多田さん。実は他の方にも声はかけたのですが、「もう少し具体的な内容を聞いてから判断したい」といった回答をいただくこともあったのですね。しかし、こうしたプロジェクトは “具体的な内容” を決めていくこともスコープのひとつ。
そうした中、多田さんは第一声に「おもしろそう」と言っていただき、多田さんとであれば一緒にプロジェクトを遂行できそうだと思えたことが決め手でした。
多田:自社でマーケティングメンバーを採用するという選択肢もあったのでしょうか?
夏:垂直立ち上げをしなければいけないということで、はじめは採用は考えていませんでした。やはり、採用するとなると時間もかかりますし、採用コストもかかってきます。それであれば、最初からKaizen Platformに相談したほうが投資対効果が得られるだろうと考えていました。
エンプラ企業担当者に手書きレターを送付。インサイドセールスと連携し、アポ獲得までのクロージングにも注力
多田:今回のプロジェクトでは「良い商談を増やす」ということをミッションとして掲げてスタート。そして、はじめはペルソナ策定や購買プロセスの整理といったところから進めさせていただきましたが、物流業界の理解というのがまず苦労した点でした。
業界知識があれば、ビジネスモデルや課題を解像度高く理解できるのですが、物流業界自体は初めてで、また荷主や3PL、デベロッパー、コンサルなど様々なプレーヤーが関わりながら意思決定される業界ということで、そうした業界構造の理解にも苦労しました。そうした業界理解があるかどうかについては当初、不安視されていましたか?
夏:そもそも物流業界×BtoBマーケティングのスキルを持ったような人はマーケットにいないんですよね。むしろ、BtoBマーケティングの知見があり、様々な引き出しを持ったプロに、物流業界の知識をインプットしたほうがいいだろうという認識であったため、不安はありませんでした。
多田:そして戦略策定を進めていく上で、ギークプラスの商材は単価も高く、受注までのリードタイムも非常に長いということがひとつ、ポイントとしてありました。そこで、良い商談を増やすためには闇雲にリード獲得しても意味がなく、今回ターゲットは “エンタープライズ企業のキーマン” に絞って戦略を立案。そして、キーマンに確実にアプローチしていくための施策を立案・実行していきました。
そのひとつが、手紙施策です。特定したキーマンに対して、その方々が抱えているであろうニーズを言語化し、まるでラブレターのように、一人ひとりに違った内容で、すべてカスタマイズした手紙を手書きで書いてお送りするということをやりました。
夏さんからも、キーマンの解像度を高めてほしいと言っていただきましたね。そもそもキーマンを特定することが非常に大変で、その企業の組織図を見て、このポジションの人は何に悩んでいるのか、どういったニーズがあるのかを一社一社、リサーチを行い進めていきました。
Kaizen Platform 執行役員 多田
夏:「この企業の、このポジションの人ってどんな人?」と聞かれて、即答できる人というのは普通あまりいませんよね。しかし、それが答えられなければ、今回の施策はうまくいかないだろうと思っていました。
特にマーケティング施策というのは、ファネルがどうとか、ナーチャリングがどうとかと、ユーザーから離れた部分を議論しがち。しかし、本来はその人が「自分のことをしっかりと考えてくれているな」と思える施策であるかどうかが重要だと考えています。
だからこそ、Kaizen Platformから手紙施策の提案を受けたときはやるべきだと思いましたし、マーケティング組織を垂直立ち上げして、まずはクイックにPDCAを回していこうとしたときに、手紙施策のようなダイレクトマーケティングが最適だと感じました。
多田:手紙施策は「送る」「開封する」「アポを獲得する」という3つのKPIがあり、今回はインサイドセールスを得意とする外部パートナーと連携し、手紙郵送後のフォローアップも徹底して行いました。
一通一通、その人にカスタマイズした渾身の手紙であったため、やはり覚えてくださっているんですよね。「ここまでしてくれるのか」といった驚きの声も多かったようです。
夏:実際に私たちのほうにも、「お手紙をいただきました。ありがとうございます」といった感謝の連絡をくださる方もいました。
多田:そうして喜んでもらえる施策というのは、私たちとしても嬉しいですよね。今回、プロジェクトを通じて驚いたことは何かありましたか?
夏:Kaizen Platformは当事者意識を持ってプロジェクトを遂行してくれるということが、やはり驚きと言いますか、他社との違いだと感じました。一般的な外部パートナーとの取り組みだと、どうしてもロールやスコープが決まっており、その決まった範囲外のことまでは踏み込んでいかないと思いますし、それが普通だと思います。
しかし、Kaizen Platformは社外に依頼しているとは思えないくらい、まるでギークプラスの一員かのようにフレキシブルに動いてくれるため、コミュニケーションも取りやすく、変化の多い立ち上げフェーズを一緒に進めていくことができました。
一方で、社内チームとのやり取りだと、どうしても振り返りを忘れてしまうなどの妥協が生まれてしまうこともあります。しかし、Kaizen Platformは社内メンバーかのような関係性でありながらも、プロフェッショナルとしての責任感を持って取り組んでいただいたと感じています。
多田:今回はプロジェクト期間も3ヶ月と、比較的短い時間の中で戦略策定から施策実行まで進めていきましたので、複数の施策が同時進行で積み重なっていく以上、タスク管理、スケジュール管理は非常に意識したポイントでした。
手紙からのアポ獲得率は31%超を達成。デイリーでPDCAを回していけるBtoBマーケ組織へと成長することができた
多田:手紙施策からのアポ獲得率は1〜2%ということも珍しくない中、今回は31.25%と驚異的なアポ獲得率を達成することができました。さらに広告施策も想定の1/2程度のCPAを実現できましたが、あらためてこうした成果に対して社内からは何か反響はありましたか?
夏:当社代表の加藤も「これはすごい」と本当に驚いていましたし、フィールドセールスからも「良い商談ができた」と言ってもらえる機会は増えました。
セオリーとしてはBtoBマーケティングはナーチャリングが大事だと言われたりもしますが、適切なキーマンに適切なコミュニケーションを行うこと、ニーズがある人にニーズに応えるものを提供することが本質であり、まさにそれを実感することができたプロジェクトだったと私自身も感じています。
また、以前まではリファラル経由以外でのアプローチはほぼやっておらず、属人的な営業活動に依存していたため、なぜ受注できたのかを因数分解できていませんでした。しかし、今回の取り組みを通じて、自社の購買プロセスをしっかりと見える化できるようになったことも非常に良かったです。
多田:施策による定量的な成果の他、取り組みを通じてどのような変化がありましたか?
夏:以前まではパイプライン管理すら行えていませんでしたから、BtoBマーケティングでやるべきことをいまは当たり前にできるようになっているということ自体、大きな変化です。
また、PDCAサイクルを早く回していくことが大切なわけですが、C(チェック)の部分をやりたい人というのはあまりいなくて、どうしても後回しになりがち。
そうした人のモチベーションが下がりやすいポイントに対して、仕組み化されたツールがあり、いまではデイリーで各施策の何が課題であったのかを即座に発見し、課題に対しての打ち手を素早く実行できるようになったことも大きな変化だと感じています。
そしてKaizen Platformに策定してもらったカスタマージャーニーはいまだに社内で活用していますし、ペルソナや購買プロセスの資料もいまでは良質なインプット教材として、新しいメンバーの育成にも活用しています。
多田:あらためて、今回のプロジェクトを振り返り、Kaizen Platformが介在する価値はどういった点にあると感じられていますか? また、今後の展望もあわせてお聞かせください。
夏:印象として、Kaizen Platformは立ち上げフェーズを得意とする人たちが多いように感じています。それはすなわち、主体的に動いていける人たちが多く集まっているということ。
今回のプロジェクトにおいても、私自身は社内での調整だとか意思決定を推進していくだとか、施策の品質管理でリソースがひっ迫していた中、多田さんが各領域のプロフェッショナルを集めていただき、「このメンバーで失敗したら、もうそれは仕方がない」と思えるくらい、ベストな体制で支援いただきました。
そうしたプロジェクトを成功させるための推進力を一人ひとりが持っているということが、Kaizen Platformの介在価値だと思っています。
これまでは当社のロボット事業領域を支援いただいてましたが、今後は新規事業のマーケティングも進めていく予定のため、既存顧客に対してクロスセル/アップセルをどう進めていくか、どういったタッチポイントをつくるかなど、ぜひ今後もKaizen Platformと一緒に取り組んでいければと考えています。
そして、将来的には “BtoBマーケティングといえばギークプラス” と言われるよう、マーケティング組織を成長させていきたいと思っています。
多田:今回、ただ丸投げするのではなく、アウトプットに対する品質含め、ギークプラス側でのこだわりもぶつけていただき、我々だけでなく、一緒になってプロジェクトを推進していくことができたと思っています。
だからこそ、ここまでの成果を出すことができましたし、プロジェクトに参加したKaizen Platform側のメンバー全員の視座が高まる、我々としても成長させてもらえた価値あるプロジェクトでした。本日はあらためて、ありがとうございました!