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5歩や10歩ではなく、“0.5”歩先を見ていく


ワタシのカイゼン学

Retty 代表取締役

武田和也さん
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各企業で活躍するマーケターに日々の取り組み、考えかたをうかがっていく「ワタシのカイゼン学」。第三回は、Retty代表取締役の武田和也さん。どのように挑戦すべき事業領域を選ぶのか、長期的にサービスを成長させるためには何が必要かなど、マーケティングに関わらず事業展開をするうえで参考になる考えを語っていただきました。



サービスが大きく進化するのは、「課題のレベル」が進んでいる領域


2011年に飲食店の実名口コミサービス「Retty」を立ち上げたとき、すでにいくつかのグルメ情報サービスがありました。しかしながら、「勝機がある!」と確信していたんです。なぜなら、日本のグルメ市場は世界でも先を歩いている。競合は多いものの、市場としてサービスが成長する土壌があると確信していました。


Rettyを起業する前、ビジネスモデルを考えるために1年ほどアメリカに滞在しました。アメリカで生まれた新サービスは国内で大きくなり、半年後か1年後には日本を含めた世界に広がっていきます。しかし、日本で生まれたサービスが海外で長期的に成功するケースはほとんどなかった。日本ではFacebookなどが普及する前からSNSがすでにありましたし、海外のサービスが登場したあとも日本独自のSNSは生まれました。しかしながら、海外勢の成長速度に追いつけず、苦戦を強いられては淘汰されていったように思います。


このような状況をみて、サービスの革新は、その領域においてユーザーや企業の課題感が高いところで進化していくのではないかと考えました。


ということは、日本が他国よりも「課題のレベル」が進んでいる領域で事業を展開すれば、日本発のサービスで世界をリードできるはず。そしてそれは「グルメ」の領域だと考えたんです。日本のレストランは量、質ともに世界でも充実していて、ユーザーが求めるレベルも高い。それゆえ「課題のレベル」も世界に先んじている。日本で「グルメ」の領域で挑戦すれば、グローバル展開も自然と視野に入ると思いました。


また、当時は人々の主な情報端末がパソコンからスマホにシフトしていくタイミングでした。このシフトによって、新しい市場が生まれると確信もしていました。


当時、既存のグルメ情報サービスは、PCで利用されることを想定したものがほとんど。しかし、スマホとソーシャルの登場により、個人が頻繁に情報を発信できるようになると同時に、ユーザー同士のオンラインでの交流も活発になる。これまでとは異なる世界観やビジネスモデルを作ることが可能になると思いました。そこで、「Retty」はスマホから誰でも手軽に口コミを投稿でき、読んだ人からのリアクションも瞬時に届くサービスにしました。


新しい事業を始めるときは、どの領域を選ぶか、どんなタイミングで行うかが重要なんです。それによって、その後の成功の確度が大きく変わってきます。「Retty」の場合は、日本が世界をリードする食の領域で、2011年のスマホシフトが起こったタイミングでスタートした。それが今の成長につながっていると感じています。



人が動く最適な領域を見つける


私自身はマーケターではないですが、事業を展開する中でいつも考えているのは「人(ユーザー)が動く最適な領域を見つける」ということです。そのためには、実際に利用者と接して定性的な感覚からアイデアを膨らませ、フェーズが進んだら定量的なデータで検証する。これを交互に行うことが重要だと考えています。右脳と左脳を行ったり来たりしながら、「どうやったら人が一番動くのか」を見いだしていくという感覚です。


例えば、新しい価値をつくるときはデータが何もない状態でスタートするケースが多いですが、「これは絶対うまくいくだろう」と思って進めていても、ある程度進んだ段階でデータを見ると「思っていたほどの数字が出ていない…」、場合によってはまったく出ていないこともあります。そのときに「このまま突き進む」というのも1つの考えですが、結果を素直に受け止めて「もうやめておこう」と切り替えることも、時には大事だと思うんです。スタート時はデータがない、続けていけばデータが出てくる。出てきたデータを見て方向転換する。特にインターネットの業界では、この感覚が重要だと考えています。


人が動く領域を見つけるためにはもう1つ、自分が手がける事業のことを、生活の中でもずっと考え続けるということも必要だと思います。起業家に限らず事業を担当している人ならよくあることだと思いますが、私の場合、日常のあらゆることを「Retty」に置き換えて見てしまうんです。例えば、映画の中で外食に行くシーンがあれば「Rettyだったら...」と考えてしまう。常に考え続けていると、誰よりも早く課題に気がつくこともできます。「もしかしたら今後大きな課題になるかもしれない」と気づいたら、データを確認する。これを日々繰り返しています。


アンテナを張り続けて、問題意識を持ち続ける。これはどんな事業を手がけていても大事なことだと思います。


1歩先だと行き過ぎ。次なる0.5歩先を追い求める


ユーザーニーズが顕在化する前にサービスをつくってしまったために、サービスがうまくいかなかったという企業の話はよく聞きます。ニーズが出てくるのが3年後くらいという場合、いくら自分が自信を持って進めていても結果はなかなかついてきません。その場合は、気づいたタイミングで方向転換が必要です。


事業やサービスを展開するうえで私自身が意識しているのは「ユーザーの0.5歩先を追い求めること」。新しい体験が好きな人もいますが、みんながみんな新しい体験を求めているわけではありません。0.5歩がどの程度かという判断は難しいのですが、1歩先だと行き過ぎだと感じています。新しいけれど新しすぎない、既存のユーザーが価値を感じてくれることが大切かなと思います。


ただ、0.5歩先、あるいは0.1や0.2歩先の直近のことばかりを見ていては中長期の成長が弱くなってしまうため、もちろん1歩先への挑戦もしていかないといけません。1歩先を見つつ、常に次なる0.5歩先を探し続けることが、長期的にサービスを成長させていくことにつながると思っています。



          



Re;(アールイー)編集部

Re;(アールイー)編集部

マーケティングの価値を再発見、Re:編集部です。マーケティングから経営課題まで、Tipsやインタビュー、対談記事など、マーケッターや経営者、カスタマー視点の情報をお届けします。

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